未知なるマリアージュの世界へようこそ!

私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

熟成鮨にはロムモール

鮨にシャブリを合わせるのは、定番中の定番。でもこれが〝熟成鮨〟となると少し事情が変わるのです。


シャブリは基本的に冷涼感と爽快感が魅力のワインです。鮨と大変よく合います。熟成鮨はというと、旨みの凝縮感が特徴で、通常のシャブリとでは反発しあってうまくマリアージュしません。


そこでオススメなのが、同じシャブリでも一級畑の〝フルショーム〟。そしてさらに、その畑の中の〝ロムモール〟という限られた区画から造られるワインです。


ロムモールは南西向きに位置し、太陽の恵みがそのままブドウに反映された男性的なワインです。シャブリらしい生き生きとした酸と濃厚なミネラル感を、どっしり安定感のある果実味が支えてくれます。つまりシャブリ〝ロムモール〟なら熟成鮨の凝縮感をしっかり受け止めてくれるという訳です。


おすすめは《ドメーヌ・デ・アット/シャブリ 1erクリュ ロムモール’14》。際立つ酸・ミネラル・力強い果実味のコントラストが鮮明で、それらが時間とともに融合していくさまが何とも魅力的です🍣✨

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焼き牡蠣には熟成シャブリ

牡蠣(かき)には「シャブリ」。マリアージュの定番です。シャブリのフレッシュなミネラル感とエッジのきいた酸味が、牡蠣の旨味をひき立てるからです。しかし、焼き牡蠣(やきがき)となると、話は変わります。通常のフレッシュなシャブリでは、舌の上で素材とワインがうまくまとまらず、〝分離感〟を感じてしまうのが難点。


そこでオススメなのが、ドメーヌ・ド・オリヴェラ・ルセストの《シャブリ・プルミエクリュ・フルショーム2000》。とくに〝20年モノ〟のフルショームは別格です。


美しいゴールドカラーと、穀物酢にフルーツをつけこんだような甘酸っぱい熟成香。酸はまるみを帯び、とりわけまろやかな甘みとともにあらわれる、濃厚な〝とろみ感〟が、焼き牡蠣の濃厚な旨味をやさしくつつみ込み、強烈な〝一体感〟を感じさせてくれるのです。


焼き牡蠣には〝若い〟シャブリより、断然熟成シャブリ。みずみずしい磯の香りを楽しめる生牡蠣とは異なり、焼き牡蠣の魅力は、旨味の凝縮感と香ばしさにあるからです。機会があれば、ぜひ一度その魅惑のマリアージュをお試しくださいね。

 

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分単位で変化する驚異のシャンパーニュ🍊

柑橘系テイストの《ベルトラン・デレスピエール》。フルーツとの相性は抜群ですが、グラスに注ぐと、分単位で〝甘味〟から〝苦味〟へと味わいが変化することが特徴です。抜栓直後は、バリウムの発砲剤のように勢いある泡とともにはちみつレモンの芳香と、オレンジを想わせる心地よい甘み、やさしい酸が訪れます。


そのため最初のひとくちは、水ダコとオレンジのマリネを合せると、あと口に残るミントの香りがアクセントとなり、オレンジの風味とともに、淡泊な水ダコの旨みの輪郭がはっきりと感じらるようになります。


5分後には「甘苦」テイストとなり、苺とサーモンのカルパッチョを合わせると、苺の甘みは助長され、わずかな苦みがサーモンとのつなぎ役になります。

10分後には「苦甘」テイストとなり、ドライフルーツのコンポートを合わせると、シナモンやクローブなどのスパイスを利かせたかのような味わいを楽しめます。

最後には、〝グレープフルーツの皮の苦み〟まで変化し、生ハムとメロンに合わせることで、塩味・甘味・苦味のバランスがすばらしい一品へと昇華します。


刻々と変化を見せるさまは感動的。時間の経過とともに、さまざまな料理とのマリアージュを楽しむには《ベルトラン・デレスピエール》がオススメです🍾🍽

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似て非なる、ブルゴーニュ

ブルゴーニュらしいピノ・ノワール(ブルピノ)とは、繊細でエレガントな果実味が特徴です。ところが、仲田浩司さんの《ルー・デュモン/ブルゴーニュ ルージュ2013》は、それとは似て非なるテイスト。土っぽさを感じさせるニュアンスで、舌の上でビブラートするような刺激感があるのです。天然酵母の使用、自畑の管理、契約農家の選定・選果、手作業による醸造など、仲田さんの気の遠くなるような手間と妥協をゆるさぬこだわりが、キュヴェごとの個性を大いに活かした自然味あふれるテイストに仕上がっているのでしょう。


そのため、仲田さんが生み出すピノ・ノワールには、ワインとおなじく素材本来がもつ自然味を生かした料理が合うはずです。《ブルゴーニュ ルージュ2013》に、海の幸山の幸のシンプルな料理を合せたのは、こうした理由です。

 

ワインの埃っぽいカビ臭と生肉のような香りは、ほんのり藁(わら)焼きの風味が香る鰹(かつお)によく合います。また、淡泊なカブや赤大根は、純朴(じゅんぼく)なタンニン(渋み)と凹凸感のある果実味で、みずみずしい甘さに変化します。


「らしさ」を追求することは、個性が埋もれてしまうリスクと紙一重。しかし〝ブルピノらしさ〟ではなく、リスクを恐れず〝ナカダコウジらしさ〟を追究する姿勢に感動を覚えるのと同時に、毎回あらたな発見があります。《ブルゴーニュ ルージュ2013》は、ブルゴーニュワインの概念がくつがえされる、オススメの一本です☝️🍷

 

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タレを意識せよ⚠️

料理にシャンパーニュを合わせるとき、肉や魚といった素材だけでなく、〝タレ〟に注目するのもわたし流です。タレとは料理を引き立てるための調味料ですが、料理とおなじく、材料や製造方法によってその特徴は異なるもの。そのタレを意識することで、シャンパーニュ選びは格段におもしろくなります。


ところで、シャンパーニュを大きく分けると、ロゼシャンパーニュと白シャンパーニュに分類されます。その違いは製造過程にあり、ロゼシャンパーニュは黒ぶどうを漬け込んだり、赤ワインをブレンドするのに対し、白シャンパーニュはシンプルに、ぶどうのしぼり汁から造られるという点です。ロゼはこのひと手間が加わるため、複雑で深みある味わいに、そうでない白はシンプルでクリアな旨みをもったシャンパーニュに仕上がります。この違いを念頭に置きながら、タレによってロゼと白を変えることもシャンパーニュの楽しみ方のひとつといっていいでしょう。


たとえば、バルサミコソースやトマト醤油には、ロゼシャンパーニュ。濃厚なタレとロゼは〝足し算〟の論理で、より複雑で奥深い味わいに。バルサミコ酢、醤油の熟成由来のゆたかな風味は、ロゼの赤い果実、スパイス香、わずかなタンニンと甘みによって、さらに数年熟成させたような芳醇さとなるのです。一方、マヨネーズやサワークリームには、白シャンパーニュ。混じりっけのないタレとシンプルな白は〝引き算〟の論理で、雑味を消し去るかのようにコクが際立ち、タレの魅力を引き立てます。


シャンパーニュと料理のマリアージュにおいて、素材と同じくらいタレを意識することで、マリアージュの世界はさらに広がります🍾🥂

 

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ワインと料理の合わせ方のコツ🍴

ワインと料理の合わせ方のコツ。それはずばり、「特性」を合わせるということ。ブルゴーニュワインの特徴は、エレガントかつ、チャーミング。合わせる料理もエレガントでチャーミングであれば、その相性は抜群によくなる、というわけです。


ただ、ブルゴーニュのなかでも、ジュヴレ・シャンベルタンという村のワインはとても個性的。エレガントでチャーミングなうえ、「力強さ」が兼ね備わります。そのうえ、ジュヴレ・シャンベルタンの〝経年変化〟は、エレガントさ、チャーミングさ、力強さ、に加えて「まろやかさ」があらわれます。《ドメーヌ・ブシャール》の《ジュヴレ・シャンベルタン2009》はその最たる例でしょう。


さてこのワインに、どんな料理を合わせるべきでしょうか。


(1)エレガント

(2)チャーミング

(3)力強く

(4)まろやかな


この4要素を備えた料理は、肉でも魚でもなく「オマールエビ」。エレガントに薫る、甲殻類特有の香りに、まろやかな甘みと、凝縮した力強い旨みが特徴です。


この同じ特性をもつもの同士、すなわち《ジュヴレ・シャンベルタン2009》とオマールエビを合わせると、複雑さも味の奥行きもぐんと広がります。


たとえば、抜栓直後から広がる赤いベリー香と、オマールの殻がバターグリルされた際に放つピンクペッパーの香りとが重なると、双方のチャーミングな印象から、ライチやマンゴーのような魅惑の芳香へと複雑さが増します。また、まろやかな果実味とオマールの甘みは、高級和栗のモンブランのような、上品かつふくよかな甘みへと奥行きが広がります。


マリアージュに迷った際は、ぜひワインと料理の「特性」を合わせことを意識してみてくださいね🦞

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天然酵母 × ラドワ

ワインの発酵に欠かせないのは、なんといっても〝酵母〟の存在です。

 

酵母とは微生物のこと。その微生物がぶどう果汁に含まれる糖をエサとして食べ、アルコールと二酸化炭素を発生させます。これがいわゆるアルコール発酵で、この酵母の働きなしにワインは生まれません。

 

この発酵を〝天然酵母〟だけで行っているのがルー・デュモンの仲田晃司さんです。天然酵母はぶどうの果皮に付着している自然の酵母のことで、培養酵母とは違い、安定した発酵が行えません。多くの醸造家が敬遠する醸造法ともいえます。

 

なかでも、天然酵母が造り出す〝自然の恵み〟を存分に感じられるのが《ラドワ ルージュ2013》。ラドワとは村の名前で、ラドワ村の複数の区画(ラドワ ルージュの場合は〝レ・トップ・コワフェ〟と〝ラ・モール〟の2区画)から獲れたぶどうがブレンドされています。

 

草木の青さ、雨上がりの湿っぽさ、太陽の温もりを感じる日向臭さと香りや味わいにも自然を感じるラドワには、野性みのあるイベリコ豚がよく合います。ほどよく脂身が入った肩ロースは、力強く濃厚な旨みの中から、イベリコ豚特有の香草の香りと、どんぐりの芳ばしさが広がり、ラドワの自然味と助長しあうかのように、双方のおいしさが増すからです。

 

惜しむらくは、「ラドワ」のワインは日本やアメリカでもほとんど流通しておらず、欧州であってもパリやブルゴーニュの一部のレストランでしか見かけないことです。

 

天然酵母 × ラドワ」となるとさらに稀少性が高くなるので、《ルー・デュモン/ラドワ ルージュ2013》と出会した際はぜひご賞味くださいね🍷

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