【極上鮨にはどんなシャンパーニュをあわせるべきか】とても興味深いテーマです。
結論からいえば、極上鮨には〝トリ単〟シャンパーニュをオススメします。
〝トリ単〟とは、トリプル単一の略で、
「単一畑・単一品種・単一ミレジム」
のシャンパーニュのことです。
単一畑とはある一区画の畑のぶどうだけを使ってシャンパーニュをつくること、単一品種とはぶどうの品種が一種類しか使われないことを意味します。ミレジムとは、ヴィンテージと同義語です。
一般的にアッサンブラージュすることなく「単一畑・単一品種・単一ミレジム」でワインづくりを行うということは、にわかには信じがたく、自社のぶどうの品質に絶対的な自信がないとできないことでしょう。
アッサンブラージュとは異なる年/品種/畑のぶどう、ならびに数十種類のベースワインをブレンドすることをいいます。天候不順のリスクを避け、高品質のシャンパーニュを安定供給するためには常識的に不可欠とされており、アッサンブラージュの技術こそメゾンの手腕といわれるゆえんです。
極上鮨にふさわしい〝トリ単〟シャンパーニュの中で、私のイチオシは《バロン・ドーヴェルニュ・フィーヌ・フルール》
エチケットに描かれた大きく鮮やかなマーガレットが特徴的で、Bouzy村のグランクリュ畑からとれる最上質のピノノワールだけを使います。それも秀作年だけに限定生産される稀少性の高いシャンパーニュです。それでもあえてヴィンテージを表記しないところに粋な姿勢と「極上のシャンパーニュとはどうあるべきか」という並々ならぬこだわりを感じずにはいられません。
モンターニュ ド ランス地区には9つのグランクリュがありますが、これまでご紹介したAombonnayのアンリ・ビリオやVerzenayのミッシェル・アルノーとはテイストがまったく異なります。
《バロン・ドーヴェルニュ・フィーヌ・フルール》をひとくち口に含むと、ブラン・ド・ノワールとはとても信じられず、その対極を成す〝ブラン・ド・ブラン〟?と間違ってしまうほどの超硬質なミネラル感の上に超フレッシュな酸が口の中に広がります。本当に「マーガレットのような白い花の香り」が鼻に抜けるかのようです。そして超微細な気泡が極上の鮨ネタを優しく包み込み、ピンと張り詰めた心地よい緊張感と混じりっけのないそのピュア度の高さにいつも心酔してしまいます。
〝トリ単〟はどんな小さなごまかしもきかない究極のシャンパーニュといえますが、食材に一切の妥協を許さず、隙のない美学を感じさせる極上鮨にまさに通じるところがあります。
極上鮨には《バロン・ドーヴェルニュ・フィーヌ・フルール》を是非お試し下さいね😋❣️