一頭の牛からわずか3%ほどしか摂れない稀少部位がヒレ肉。そのヒレ肉の中央部にある、もっとも肉質のよい超稀少部位が「シャトーブリアン」です。赤身で、脂肪がきわめて少ないにもかかわらず、したたる肉汁とそのやわらかさは、極上肉のなかでも別格の美味しさ!
今日は、この最上級部位をさらにおいしくいただく秘けつ〝3ヶ条〟を伝授します。
まず第一は、七輪で焼くべしです。鉄板より炭焼きの方が断然おいしいと私は思います。余分な脂が落ちてステーキが油っぽくなりにくく、肉から出る脂だけで十分おいしく焼くことができるからです。
第二に、炭は紀州の備長炭を使うべしです。いうまでもなく紀州の備長炭は、火力の安定度、火持ちの長さ、ともに優れた炭です。燃焼しても臭いがなく、遠赤外線の効果により、「外はカリッとこんがり、中はしっとりやわらか」の究極のおいしさを実現します。
そして第三は、若いピノ(ピノ・ノワール)ではなく、熟成ピノであわせるべしです。落ち葉の香りが漂うような深みのあるブルゴーニュの赤の方が、素材本来の味をやさしく引き立ててくれるのです。
そこで、今回は大胆にも2001年のヴォルネイを選択。ブルゴーニュの2001年は春・夏ともに天候に恵まれず、さらには、ヴォルネイ村では雹(ひょう)による甚大な被害が出てしまったヴィンテージです。
多くのドメーヌが〝腐敗果〟に悩まされた2001年ですが、造り手の卓越した醸造技術により、《ベルナール ドラグランジュ/ヴォルネイ 1erクリュ クロ デ シャンパン 2001》は、20年近くの熟成を経て、まさに今が飲み頃です。まるで〝シャトーブリアンの朴葉(ほうば)包み〟のような、枯れた風味を帯びた味わいが口の中に広がるのです。