特別な記念日には、心に残るワインを楽しみたいものです。今日は〝オキテ破りの一手〟をご紹介します。それは、〝ファーストラベル〟と〝セカンドラベル〟を50:50の配分で混ぜてしまうという方法です。楽しむ順番としては(1)セカンドラベル、(2)ファーストラベル、(3)ハーフ&ハーフがオススメです。
ファーストラベルとは、造り手にとっての最上級のワインのこと。セカンドラベルとは、ファーストラベルの品質に届かなかった上級ワインのことです。
今回の〝オキテ破り〟のターゲットは、ボルドー地方はサン・ジュリアン村の《シャトー・ラグランジュ》。メドック格付けは第3級、ヴィンテージは2013です。ファーストラベルは、何度かスワリング(グラスを回して空気を含ませる)しても、なかなか香りが開いてくれない〝ツワモノ〟…。しかし、時間が経過するにつれ、竹林にいるような青さとすがすがしさに、鉛筆と黒こしょうの香り、プルーンエキスのような濃厚で厚みのある果実味が、大きな波のように訪れます。
一方セカンドラベルの《レ・フィエス・ド・ラグランジュ》は、透明感のある濃いルビー色で、鉄や血液などを想わせる香りが印象的です。やわらかで軽快なタンニンと、新鮮なブルーベリーのような果実味が、すっと舌になじみます。
同じ造り手、同じヴィンテージのファーストとセカンドの飲み比べは、ワインならではの楽しみ方のひとつです。さらに、両者をグラスの中でアッサンブラージュする(混ぜる)ことで生まれる〝シークレットラベル〟は滋味ゆたかな香りともに、ファーストともセカンドとも異なる、深淵なる新たな世界が広がります。ときにはカタチにとらわれないことも、ワインをより楽しむための秘訣かもしれませんね😊