《アンリ・ド・ヴェルレーヌ》というシャンパーニュの特徴は、空気に触れた後の〝進化〟のはやさで、おもしろいほど味が刻々と変化することです。それゆえ、一杯で二度のおいしさを享受できる点が魅力です。
一度目のおいしさは、グラスに注いだ瞬間。抜栓直後のさわやな柚子の香りと、舌がピリッとするほどの刺激ある苦みがたまりません。サクサク衣と、ふっくら上品で淡白な白身、かすかな苦みがあとをひく若さぎの天ぷらとの相性は抜群です。
二度目のおいしさが訪れるのは、十数分後です。躍動感あふれる泡が落ち着いたころ、まるくなった酸とまろやかな果実味が〝顔〟を出し、サクラの花の蜂蜜テイストと焦がした木の実の風味が混ざり合うことで、よりマイルドな複雑味があらわれます。まるで薬味の柚子胡椒(ゆずこしょう)を添えているかのごとく、天ぷらのコクを際立たせ、若さぎの風味をさらに高めてくれるのです。
経〝分〟変化こそ、《アンリ・ド・ヴェルレーヌ》の醍醐味。シャンパーニュの楽しみ方のひとつですね🥂