格付け第3級を誇る《シャトー・カロン・セギュール》。とくに2013年前後のヴィンテージでコースを愉しむ際は、ファーストラベルを魚料理、セカンドラベルを肉料理に合わせることを推奨します。多くのシャトーものは、ファーストラベルは奥ゆきがあって複雑、セカンドラベルはピュアで軽快なのですが、若いカロンセギュールに限っては、これが逆転するからです。
「ファーストラベル」とは、そのシャトーを代表するフラッグシップワイン。最上級のぶどうから最高レベルの醸造により、至高のワインが生み出されます。それは、長期熟成に耐えるべく、濃厚な果実味とつよい酸を兼ね備えたものが一般的です。一方「セカンドラベル」とは、ファーストラベルに及ばなかったぶどうでつくられるもの。早飲みタイプが多く、かろやかな果実味が特徴です。
今回は2013年のファーストと、2014年のセカンドを同時抜栓。セカンドはホコリっぽさと湿っぽさが入り交じるなか、驚くほどの凝縮された果実味と厚みがおそってきます。まさに今が飲み頃で、鴨のロティ、牛蒡(ごぼう)のソースでもしっかりと受け止めてくれます。
一方、鰆(さわら)と合わせたファーストラベルは、洗練されたクリアな味わい。無駄を極限にまでそぎ落とした印象です。デキャンタしても、なかなか眠りから覚めてくれる気配がありません。そんなコンクリートのようにひんやりとした冷涼感が、淡泊な魚料理に合うのです。
「肉にはセカンド、魚にはファースト」。これぞ〝わたし流〟のカロンセギュールの楽しみ方です。実際にファーストとセカンドを飲み比べることで、そのシャトーの世界観に触れるだけでなく、あらたな楽しみ方が見つかりました🍷🍴