シャンパーニュには、残糖量もしくは、甘辛度をあらわす表示の記載が義務づけられています。なかでも生産量がもっとも多いのが、残留糖分12g/ℓ 以下の「ブリュット(辛口)」。このブリュット・シャンパーニュを世界ではじめて造った人物こそ、マダム・ポメリーです。
その先駆者がつくるブリュット・シャンパーニュ。特筆すべきは、キュヴェごとに熟成のしかたが大きく異なる点です。
たとえば今回の《ブリュット・ヴィンテージ1985》は、甘みに負けない酸が躍動的にひろがり、35年経とうとも、背筋が伸びるようなキリッと感。現行のNVと同時比較すると、その偉力は明白です。かつてご紹介した《ルイーズ・ブリュット1985》が〝静的な熟成味〟であったのに対し、〝動的な熟成味〟をみせるブリュット・ヴィンテージ1985。
そんな1985は、仔羊のグリルとともにお楽しみください。ジューシーな肉汁から甘みが最大限に引き出され、ほんのり薫る獣香、シャンパーニュの焦がしたシュガーバターの芳香、ソース代わりの燻製モッツァレラがその美味しさをさらに引き立てます。
〝静的な熟成味〟と〝動的な熟成味〟。おなじ経年であれ、キュヴェのコンセプトがことなれば、熟成味に対照的なまでの違いが生まれる。これこそが、マダム・ポメリーが後世に伝えたかったメッセージかもしれませんね🥂