未知なるマリアージュの世界へようこそ!

私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

ムルソーの愉しみ方

ブルゴーニュムルソー」村は、フランス屈指の銘醸地。濃厚なシャルドネは、強烈な樽香にも負けない力づよいワインを生みだします。なかでもとりわけ秀逸な一級畑が「シャルム」。日照量にめぐまれた南東斜面に位置し、凝縮感のある豊潤な果実味を有します。

 

きょうは《ビトゥゼ・プリユール》のムルソーとシャルムを同時比較。驚くべきことに、双方とも香りと味わいが〝真逆〟。さらに二本の香味が〝逆転〟しているという、じつに興味ぶかい水平飲みです。《ムルソー2015》は、白桃のコンポートや蜂蜜といった、きわめて甘い芳香。ところが味わいは、甘味が極度に控えめで、シャブリのような酸とミネラルが主張しているのです。「鮮魚のカルパッチョ」、とりわけ炙りイカとの相性がよく、レモンとフルール・ド・セルを振ったかのように素材の甘味をひきたてます。一方《シャルム2015》は、香りに甘さをほとんど感じません。冷涼感ただよう酸い柑橘香。しかし味わいはじつに甘美で、アプリコットのコンフィチュールのような甘みが、舌にとろんとまとわりつきます。合わせる料理は「天使のエビのカダイフ巻き」。衣の芳ばしさ、バターのコクと調和しつつ、海老の濃厚な旨味をさらに増強させます。

 

ムルソー村には21のプルミエ・クリュが存在。なかでも三大畑と称されるのが、ふくよかな「シャルム」、しなやかな「ペリエール」、たくましさの「ジュヌヴリエール」。ヴィンテージをそろえた「ムルソー」との水平飲みは、村と畑双方の魅力が堪能できおすすめです🥂✨

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テタンジェか、ボランジェか

シャンパーニュの二大メゾン、「テタンジェ」と「ボランジェ」。シャルドネの魅力を生かした、繊細かつエレガントなテタンジェ。対してピノ・ノワールの凝縮感と厚みのある味わいがボランジェの特徴です。

 

そんな対照的な両者を、大将がにぎる「おまかせ鮨」で飲み比べるのも楽しみ方のひとつ。どんな鮨ダネが並ぶのかと胸をおどらせ、あわせるシャンパーニュを思案するのも、また至福のひととき。あっさりとしたタネにはテタンジェ、脂がのったタネにはボランジェをあわせるのがわたし流。今夜のイチオシは、「熟成鯛」と「炙りカマス」。上品な鯛は、昆布の芳醇さも相まって、いっそう品ある旨味へと進化。テタンジェの細やかな泡で昆布の香りがひろがり、鯛のやさしい甘みとシャンパーニュの繊細な旨味が重なります。一方、おなじ白身でも脂ののったカマスはじつに濃厚。とりわけ炙ったカマスと力づよいボランジェとの相性は抜群です。

 

メゾンの特徴を体現するかのように、テタンジェはミレニアム記念に「グレース・ケリー」をエチケットに描写。また、ボランジェと聞けばだれもが連想する「ジェームズ・ポンド」。そんなエレガントな女性、ワイルドな男性への〝贈りモノ〟にもぴったりのシャンパーニュです🎁✨

 

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ケール

青汁でおなじみのケール。さすが、健康によい〝スーパーフード〟とあって、苦味がひときわ際立つ野菜。料理ではゴーヤチャンプルのように、油で炒めて苦味をやわらげるのが一般的。そんなケールでもシャンパーニュといただくなら、断然、生の「サラダ」をオススメします。ケールの苦味とシャンパーニュ特有の苦味がとてもよく調和するからです。

 

きょうは《トリボー/オリジン・ブリュット》とケールのサラダ。ピノ・ムニエ50%、シャルドネ30%、ピノ・ノワール20%。とりわけ、ムニエの苦味と瑞々しい果実味が印象的。くわえて、レンモをしぼったような爽快感が余韻ながくつづきます。ケールと調和するのはもちろん、サラダにまぎれたミントが爽やかさを助長し、両者の苦味がより一層心地よく感じられます。

 

シャンパーニュと相性抜群のケール。トリボーのように、すっきり爽やかなシャンパーニにはフレッシュハーブ。対して、厚みのあるシャンパーニュにはきざんだナッツを加える。これが私のケールの楽しみ方です🥗🥂✨

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串カツには二種類のシャンパーニュ

「串カツ」と「シャンパーニュ」はとても好相性な組み合わせ。シャンパーニュの苦味が芳ばしい揚げ衣とよく合い、こまやかな泡が脂っぽい口をリフレッシュしてくれます。

 

今回は《バロン・アルベール》という生産者。三代つづく家族経営のメゾンです。現在は三姉妹にひきつがれ、女性ならではのやさしいシャンパーニュを生みだしています。なかでもピノ・ムニエ主体の《レロカント》は、ゆたかな酵母香とふくよかな果実味。牛や豚などの力づよい串にとりわけよく合います。一方、シャルドネ100%の《ランディシプリネ》は、グレープフルーツのような柑橘香と、シャルドネならではの繊細なフィネス。鶏のササミや白身魚といった淡泊な素材を、そっと包み込むように引き立てます。

 

ソースでいただく串には黒ブドウ主体のシャンパーニュ、塩やレモンでいただく串にはシャルドネ主体のシャンパーニュがオススメ。〝セパージュ違い〟で愉しむ串カツ。ぜひお試しください🥂✨

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ノスタルジー

プリン・ア・ラ・モードに、レモンスカッシュ。いま若者の間では、レトロ感あふれる「純喫茶」が空前のブーム。昭和世代が好むのは想像に容易いのですが、当時を経験していない世代にまで受け入れられるのはなぜでしょう。それは『ALWAYS 三丁目の夕日』に代表されるように、だれもがどこか懐かしさを感じる「ノスタルジー」が背景にあるからではないでしょうか。

 

シャンパーニュ最古のメゾンのひとつ、《ランソン》もその一例。創業260年以上の歴史を誇る、まさに世代を超えて愛され続ける老舗メゾンです。今夜いただく《ゴールド・ラベル1994/1995》は、とりわけ哀愁ただよう佇まい。ともに、吸い込まれそうな美しいゴールドカラーに、高級ブランデーVSOPを想わせる芳醇な香り。舌を包みこむしなやかな熟成酸と、とろけるような濃厚な甘味とコクが渦巻きます。外観も風味も極めて似かよった両者。いまが熟成のピークと思いきや、注意深く比べてみると、《1995》の方がわずかに、香り味わいのヴォリュームが控えめであることに気がつきます。シャンパーニュ史上屈指の秀作年である《1995》。さらなる〝経年優化〟を期待させます。

 

偶然か必然か、歴史の重みを感じさせる老舗鮨屋での抜栓。空間とのみごとな調和が、ランソンと鮨のマリーアジュを一層感慨ぶかいものにします🍣🍾

 

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休日に愉しむ、開放感と背徳感

わたしのリフレッシュ方法。それは休日の昼下がりにワインを楽しむこと。平日の晩酌にはない開放感と、ちょっぴり背徳感に包まれます。

 

きょうは《ルイ・ジョッセ/ジュヴレ・シャンベルタン2006》を抜栓。干しぶどうのような濃厚な色と香りにくわえ、カベルネ・ソーヴィニヨンのような、「竹」を彷彿とさせる青さと清涼感。外観と香りだけでは、ボルドーかと錯覚してしまうほど。もちろん味わいはそのイメージを一掃します。熟成ブルゴーニュ特有のやわらかな乳酸系の旨みに、経年15年でも健在の、ジュヴレ・シャンベルタンらいし力づよいタンニン。それは口にへばりつくようで、粉っぽさをも覚える質感。「鹿のロースト」のように、上質な赤身のジビエととてもよく合います。添えられたマデラソースとツルムラサキが、“ボルドー的”芳香ともみごとに調和。

 

毎日のきまったルーティンを前倒しすることで、平日の疲れが癒される「リフレッシュ効果」、大いにあり。ぜひお試しください🍷✨

 

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鮨の順序

鮨をたべる際の〝順序〟を意識したことはありますか。一般的には、白身などのあっさりとした鮨ダネから、トロや鰻といった味の濃い鮨へ食べ進めるのがよいとされます。さきに濃厚な鮨を食べてしまうと、淡泊な魚が極度にうす味に感じられ、鮨ダネ本来の魅力を堪能できないからです。

 

この、淡泊から濃厚な鮨への流れにあわせて、シャンパーニュを飲み変えてみるのも楽しみ方のひとつ。たとえば、前半は魚の風味を損なわないよう繊細かつエレガントなもの、後半は鮨ダネと対等する、つよい旨味のシャンパーニュを合わせます。

 

わたしのおすすめは、コート・デ・バール地区の《ムタール》。ブルゴーニュのシャブリに近い生産地で、土壌もシャブリ同様、キンメリジャン。《プレスティージュ・ブリュット》は、シャルドネの繊細なフィネスと土壌由来のミネラル感がきわだつ一本。「真鯛」に合わせると、鮨に塩がふられたかのように、鯛のやさしい甘味がひろがります。一方、力づよさが魅力の《ブリュット・グラン・キュヴェ》はピノ・ノワール100%。ふくよかな果実味とゆたかな熟成風味が、こってりとした「鰻」をも包み込んでしまいます。

 

ニギリがうつくしく並んだ「盛り合わせ鮨」も、じつはその配列に、職人の意図が隠れている場合があります。箸をつけるまえに、順序の有無を確認するとよいでしょう🥂✨

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