煮つめ(たれ)でいただく鮨といえば、穴子。ハマグリやゲソもそうですが、とりわけ穴子と煮つめの相性がいいように思います。
それもそのはず。「煮つめ」とは穴子の煮汁を煮つめ、甘辛く味つけしたもの。穴子の旨みが凝縮されています。それが塗り重なることで、穴子本来のたんぱくな旨みが濃化し、こってりとした甘辛味とみごとに調和するのです。
そんな穴子鮨に、エクストラ・ドライのシャンパーニュを合わせるのもひとつ。エクストラ・ドライは、ブリュット(辛口)より残糖レベルがひとつ上の甘辛表示。つまり、ブリュットより加糖量の多い「中辛口」を意味します。これが煮つめと交わると、鮨が一層まろやかな甘みを帯びるのです。
今回セレクトしたのは、1776年創設の老舗メゾン《ルイ・ロデレール》。ぶどうを購入し、ワインを生産するメゾンが多いなか、ぶどう栽培から一貫したワイン造りにこだわるのがルイ・ロデレール。その精神は創業よりつづく家族経営によっていまも受け継がれています。黄金色に輝く《カルト・ブランシュ・エクストラ・ドライ》は細やかな泡と焦げたトースト香。ふかい旨味とコクが舌にしみいり、肉厚の伝介穴子を包み込みます。
煮つめは継ぎ足しをくりかえしながら守られる、店伝統の味。歴史ある老舗メゾンのシャンパーニュとともに堪能していただきたい🍾✨