「ピュリニー・モンラッシェ」と「ムルソー」村。いわずと知れた、白ワインの銘醸地。一般的にやわらかくエレガントなピュリニー・モンラッシェは〝女性的〟、力づよく骨太な印象のムルソーは〝男性的〟と表現されます。
その趣(おもむき)は、経年35年の両者にも。ブルゴーニュ屈指の老舗メーカー《ルイ・ラトゥール》がそれを物語ります。《ピュリニー・モンラッシェ1986》はすこし濁りのあるアンバーカラーに、熟成梅酒のような酸と甘みを想わせる繊細香。味わいにおける酸もきわめて繊細。一本の絹糸がのびるかのように、余韻ながくつづきます。ジューシーな「鴨ロース」の旨味をも、けん引するかのごとく。対して《ムルソー1986》。色合いは前者とほぼおなじでも、香りと味に個性がひかります。シェリー酒のアモンティリャードを想わせる芳醇な香りと、こうばしい苦味。丸みを感じるものの、いまだ堂々たる味わい。こちらは、鴨ロースをリンゴソースでいただきます。ソースとワイン双方の甘みで、鴨肉は一層深みを増すのです。
ひとも年をとると内面がにじみでるもの。ワインが経年変化するように、わたしも美しく歳を重ねたいものです🍷