プリン・ア・ラ・モードに、レモンスカッシュ。いま若者の間では、レトロ感あふれる「純喫茶」が空前のブーム。昭和世代が好むのは想像に容易いのですが、当時を経験していない世代にまで受け入れられるのはなぜでしょう。それは『ALWAYS 三丁目の夕日』に代表されるように、だれもがどこか懐かしさを感じる「ノスタルジー」が背景にあるからではないでしょうか。
シャンパーニュ最古のメゾンのひとつ、《ランソン》もその一例。創業260年以上の歴史を誇る、まさに世代を超えて愛され続ける老舗メゾンです。今夜いただく《ゴールド・ラベル1994/1995》は、とりわけ哀愁ただよう佇まい。ともに、吸い込まれそうな美しいゴールドカラーに、高級ブランデーVSOPを想わせる芳醇な香り。舌を包みこむしなやかな熟成酸と、とろけるような濃厚な甘味とコクが渦巻きます。外観も風味も極めて似かよった両者。いまが熟成のピークと思いきや、注意深く比べてみると、《1995》の方がわずかに、香り味わいのヴォリュームが控えめであることに気がつきます。シャンパーニュ史上屈指の秀作年である《1995》。さらなる〝経年優化〟を期待させます。
偶然か必然か、歴史の重みを感じさせる老舗鮨屋での抜栓。空間とのみごとな調和が、ランソンと鮨のマリーアジュを一層感慨ぶかいものにします🍣🍾