未知なるマリアージュの世界へようこそ!

私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

時間がないときは、カレラで「黄金の方程式」

わたしが提唱する「黄金の方程式」とは、鮨ネタとワインの色を合わせるというマリアージュの方程式です。たとえば、赤身・中トロ・大トロ等の赤系鮨には赤ワインを、ホタテ・ツブ貝・ホッキ貝等の白系貝類には白ワインをといった合わせ方です。


しかしあまり時間を確保できないときは、カリフォルニアワインがオススメ。ブルゴーニュワインと違って、抜栓直後よりそのおいしさを堪能することができるからです。


ブルゴーニュの特級ドメーヌでワイン造りを学び、カリフォルニアの地で、徹底的な分析と研究のもと生産される《カレラ》。その果実味はたくましいほどに力づよく、筋肉美のようにキュッとひきしまっています。鮨にフルーティーなワインを合わせると魚の生臭みを助長すると嫌煙されがちですが、カレラの凝縮された果実味ならその心配はなく、ネタとシャリとの一体感を強め、うまみのつよい鮨に昇華させてくれるのです。


今回は、稀少な単一畑もの《ピノ・ノワール・ド・ヴィリエ2010》と、優良年の《シャルドネ・セントラルコースト2015》。ピノ・ノワールの乳酸発酵したような甘みあるコクが、鮪(まぐろ)の力づよい味わいと、濃厚な脂身を包み込むことで、まったり舌全体に吸いつくような旨みが生まれます。そのコントラストを赤身、中トロ、大トロで楽しむことができます。一方、貝のミネラルがプラスされて新たなバランスに整った白ワイン。サクサクとネタが噛み切られらる度にあふれる、淡白で上品な貝のエキスを、太陽をふんだんに浴びた厚みあるシャルドネが受け止め、旨みを鮮明に浮かび上がらせるのでした。


鮪系にはピノ・ノワール、貝類にはシャルドネ。鮨をさっと食したいときは、カレラでの「黄金の方程式」を一度お試しくださいね🍣🥂✨

 

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ポテトにポメリー🥔

《ポメリー/ブリュット ロワイヤル》の特筆すべき点は、マスカットのさわやかさと、高級ハチミツの上品で洗練された甘みとコクが、超絶細やかでクリーミーな泡とともに口いっぱいに広がることです。


ビシソワーズ(ポテトの冷製スープ)に合わせて《ポメリー/ブリュット ロワイヤル》をいただくと、シンプルテイストの後に、ハーブを効かせたベイクドポテトのようなはなやかな香りと濃いうまみを感じます。


おそらく、《ポメリー/ブリュット ロワイヤル》特有のながい余韻のあとに訪れる〝ピンクペッパー〟のような独特の風味が、じゃがいもの素朴な味をやさしく包みこみながら、ビシソワーズに変化を与え、一段とおいしくさせてくれるのでしょう。ポテトチップスに合わせても、まったく同様のマリアージュが再現できたからです。


ポテトにポメリー。頭の片隅にでも置いておいてくださいね🥂🍾

 

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朴訥とした透明感

ブルゴーニュ唯一の日本人醸造家、仲田晃司氏の《ルーデュモン/ブルゴーニュ・ブラン2013》。淡いイエローゴールドで、香りはほのかにアカシアの蜂蜜。テイストはとても個性的です。完成したばかりのコンクリート建造物のような冷たさ、ほこりっぽさ、シンナー、鉄カビ臭…。くちに含むとするどい酸が突き刺さり、それは極寒日のトゲトゲしい痛みにすら感じます。時間が経っても、まるくならず、軸がぶれないのも特徴です。


シェフがこのワインに合わせてくれたのは、「無色のガラス皿」。いうまでもなく、共通点は〝朴訥(ぼくとつ)とした透明感〟です。ワインも料理も通常より温度が低い、というわけではありませんが、不思議なことに、ガラスに盛られた生ハムや夏野菜は、ワインと共鳴するかのように塩味とミネラル香をかもしだし、素材の味を研ぎ澄ませてくれるかのようでした。


《ルーデュモン/ブルゴーニュ・ブラン》。とりわけ、〝朴訥とした透明感〟を感じさせる2013年がわたしのお気に入りです✨

 

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キャビアに合うシャンパーニュ

キャビアには〝辛口シャンパーニュ〟がよく合うといわれています。しかし、新鮮で上質なキャビアには、熟成シャンパーニュの方が断然合うとわたしは思っています。理由は、「エクストラ・ブリュット」や「ノン・ドザージュ」などの酸がつよいシャンパーニュだと、せっかくの繊細なキャビアの風味が消されてしまうからです。これはもったいない…。

 

そこで、わたしがオススメするのは《サン・J・プリエスト》。このシャンパーニュは、やわらかく優しい泡と、甘酸っぱい芳醇な熟成香が特徴です。20年近く瓶内熟成させると、淡いべっ甲色の、それは、それは美しい輝きを放ちます。まるみを帯びたまろかな酸と、とろけるようなキャビアのピュアで軽やかな旨みが、絶妙なコントラストを描くのです。

 

このように、なめらかな舌触りとともに、繊細な風味を兼ね備えているキャビアには、辛口シャンパーニュではなく、〝20年プリエスト〟のようなまったりとした熟成シャンパーニュ方がよく合います。セオリーは大切なことですが、一方で常識を疑うことも、感性を高めるためには必要なことかもしれませんね。

 

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苔庭で感じる、シャンパーニュ

お気に入りのRMのひとつ、«レテ・ヴォートラン/ブリュット204»。このシャンパーニュの特徴は、ごく微細な泡粒子の密度がたかく、わたしのシャンパーニュ史上五本の指に入る、リッチで芳醇な香りを放つことです。とくにウォッシュチーズや鮒(ふな)寿司を想わせる発酵香は、つい何度もかいでしまう〝美臭〟。


これに合わせていただきたいのが、新芽がめぶくこの季節の、雨上がりの苔庭(こけにわ)。むせ返るような湿気と青くささ、それと個性ゆたかなレテ・ヴォートランがみごな芳香ハーモニーを奏でます。

 

今回の料理はシェフのご配慮で、お皿からも青さがあふれる「山菜と春野菜のジャルディニエール」。

 

味わいはクリュッグとよく似ていて、その分厚さと力づよいコクが、濃厚なホタルイカフロマージュブランになめらかに絡みます。あと味にひろがるリンゴ酢のような爽やかさと、赤軸ほうれんそうの苦み、苔の青さからは、よりいっそう初夏を感じるマリアージュでした🌱🥂✨

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肉にはセカンド、魚にはファースト

格付け第3級を誇る《シャトー・カロン・セギュール》。とくに2013年前後のヴィンテージでコースを愉しむ際は、ファーストラベルを魚料理、セカンドラベルを肉料理に合わせることを推奨します。多くのシャトーものは、ファーストラベルは奥ゆきがあって複雑、セカンドラベルはピュアで軽快なのですが、若いカロンセギュールに限っては、これが逆転するからです。

 

「ファーストラベル」とは、そのシャトーを代表するフラッグシップワイン。最上級のぶどうから最高レベルの醸造により、至高のワインが生み出されます。それは、長期熟成に耐えるべく、濃厚な果実味とつよい酸を兼ね備えたものが一般的です。一方「セカンドラベル」とは、ファーストラベルに及ばなかったぶどうでつくられるもの。早飲みタイプが多く、かろやかな果実味が特徴です。

 

今回は2013年のファーストと、2014年のセカンドを同時抜栓。セカンドはホコリっぽさと湿っぽさが入り交じるなか、驚くほどの凝縮された果実味と厚みがおそってきます。まさに今が飲み頃で、鴨のロティ、牛蒡(ごぼう)のソースでもしっかりと受け止めてくれます。

 

一方、鰆(さわら)と合わせたファーストラベルは、洗練されたクリアな味わい。無駄を極限にまでそぎ落とした印象です。デキャンタしても、なかなか眠りから覚めてくれる気配がありません。そんなコンクリートのようにひんやりとした冷涼感が、淡泊な魚料理に合うのです。

 

「肉にはセカンド、魚にはファースト」。これぞ〝わたし流〟のカロンセギュールの楽しみ方です。実際にファーストとセカンドを飲み比べることで、そのシャトーの世界観に触れるだけでなく、あらたな楽しみ方が見つかりました🍷🍴

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ボロニアソーセージには、ハーブ香漂うシャンパーニュ🌿

ボロニアソーセージには、《ヴーヴ エリザベス》がオススメ。このシャンパーニュは、舌に残るほどの青みと「ルッコラ」のようなピリッとした独特の苦味が特徴です。これらがアクセントになって、ソーセージの風味が広がり、より一層おいしさが引き立ちます。


ソーセージをひとくち、続けてシャンパーニュをひとくちいただくと、ソーセージに練り込まれたうま味ある油脂に、《ヴーヴ エリザベス》のかすかに香るゴマ風味とさわやかなディル香が合わさることで、アフターに立体感がうまれ、奥行きのある芳醇な味わいを長く楽しむことができるのです。


このマリアージュは、やみつきになりそうです🥂🍾✨

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