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私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

シャンパーニュの「厚み」とは何か

シャンパーニュは、その独特な製法と洗練されたイメージで世界中にその名を知られています。シャンパーニュを特徴づける表現の一つに「厚み」という言葉がありますが、これはビールや日本酒、焼酎など他のお酒にはあまり使用されることのない表現です。では、シャンパーニュの「厚み」とは具体的になにを指しているのでしょうか。

シャンパーニュの「厚み」とは、その味わいの深さや複雑性、そして口当たりの重厚感を示します。これはシャンパーニュ特有の瓶内二次発酵と長期熟成によるもので、ボトル内でゆっくりと炭酸ガスが生まれ、ワインに繊細な泡を与えると同時に、風味の層を重ねていくプロセスによって、「厚み」が生まれることになります。

とくに、ボランジェという高品質なシャンパーニュは、まろやかで豊富な果実味が広がるふくよかな「厚み」と奥行きのある複雑性で知られています。この「厚み」は、グラスに注がれた際の泡立ちの質や、口中で感じる泡のクリーミーさ、そしてアフターテイストの長さにもあらわれます。たとえば、泡が細かく、クリーミーで滑らかな口当たりのシャンパーニュは、「厚み」があると評されることが少なくありません。また、様々なフレーバーが複雑に絡み合う味わいも、「厚み」を感じさせる要因のひとつになります。

シャンパーニュの「厚み」は、素晴らしいテロワール、厳選された高品質なぶどう、製造方法、熟成度合い、そして卓越した技術が組み合わさった結果です。シャンパーニュの「厚み」と、その奥深さを理解するには、まずは「ボランジェ」を。シャンパーニュ初心者には、いつもそう伝えています。

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餃子とかけてシャンパーニュととく

餃子とかけてシャンパーニュととく。その心は、どちらも〝ガス〟が旨さの決め手となります。餃子においては、強火でジューシーな焼き上がりを得るためにはガス(火力)が必要です。一方、シャンパーニュにおいては、瓶内二次発酵でボトル内で生じたガス(炭酸)が、その豊かな泡立ちと繊細な味わいを生み出します。両者ともに、その調理や醸造過程での〝ガス〟がクオリティを左右するという点で共通しています。

今夜は、まるでシャンパーニュのようなフルーティーで上品なテイストのビール「イネディット」とともに、ガストン・デクロという造り手のシャンパーニュ 「デクロフレール・ブリュット」を楽しんでいます。ピノ・ノワール特有のほのかな甘みを感じる芳醇な香り、凝縮された果実味と奥深いコクが、餃子との相性抜群。

最近は、カリカリジューシー焼き餃子をアテに、シャンパーニュとビールを交互に楽しむことにはまっています。「イネディット」の軽やかなホップの香りが春キャベツを優しく包み込み、豚のひき肉が「デクロフレール・ブリュット」の洗練された泡立ちと相まって、それぞれの食材の美味しさを最大限に引き出します。

みなさまは餃子とかけて、なんとときますか?ぜひ、オススメの組み合わせで、みなさまの自信作の「なぞかけ」をご披露くださいね。

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古樽から紡がれるフレーバー

ウイスキー愛好家たちがその独特の風味と製造過程に魅了される理由のひとつは、「古樽」の利用にあります。この繊細な酒の多様性と深みを引き出す重要な要素である古樽の選択は、独自のアロマと味わいを大きく左右します。

この業界の革新性と伝統を象徴するかのように、シェリー樽、ビール樽、ラム樽など、世界各地でもちいられた多彩な樽がウイスキー製造に再利用されています。なかでもシェリー樽を使用したウイスキーは特に興味深いです。辛口のフィノやオロロソ、甘口のペドロ・ヒメネスなど、樽の種類に応じてウイスキーに異なるニュアンスをもたらし、豊かな風味と複雑性を加えているからです。

たとえば、「グレンアラヒー11年」はペドロ・ヒメネスの古樽で熟成されたウイスキーで、微かなスモーキーさとペドロ・ヒメネス独特のまろやかな甘みが特徴です。このウイスキーシェリー香は、「ドンペリ1988」のような熟成シャンパーニュの酸化による熟成香とどこか似ていると感じるのはわたしだけでしょうか。ただし、シャンパーニュの樽で熟成されたウイスキーは現時点ではほとんど見かけません。一般にシャンパーニュはステンレス鋼のタンクやガラス瓶で発酵・熟成されるため、専用の木製樽が少ないからでしょう。

しかし、ウイスキー製造における革新的な試みとして、さまざまな種類のワイン樽が試験的に用いられており、今後シャンパーニュ樽の活用も実現するかもしれません。赤ワインや白ワインの樽を用いた熟成実験が盛んになっている今、これらの新しい試みがウイスキー業界に新たな風を吹き込むことを期待しています。

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フライドポテトに合う最強酒

シンプルながらも多くの人々を虜にするフライドポテト。塩気とカリッとした食感で、さまざまなドリンクとのペアリングが楽しめます。しかし、数ある選択肢のなかで「フライドポテトに合う最強酒」をわたしが選ぶとすれば、それはおそらくシャンパーニュとなりそうです。その理由を3つの視点から述べたいと思います。

まず第一に、繊細な泡立ちとのコントラストです。
シャンパーニュの繊細で細かい泡立ちは、フライドポテトの油っこさを中和してくれます。この泡立ちがもたらすさわやかさは、油と塩の重さを感じさせず、次のひと口が待ち遠しくなるような期待値を生み出します。もちろんビールや他の炭酸飲料も同様の役割を果たしますが、シャンパーニュの泡はより繊細であり、食感の対比を際立たせてくれます。

第二は、酸味との相性のよさです。
シャンパーニュが有する自然な酸味は、フライドポテトの塩気と絶妙にマッチします。このナチュラルな酸味が、ポテトの豊かな味わいを引き立て、食欲を刺激します。塩分と酸味の組み合わせは、食材の味わいを互いに高め合い、味覚のハーモニーを生み出します。

第三として、多様性との調和があげられます。
シャンパーニュはその種類によって、辛口から甘口まで幅広いフレーバープロファイルをもっています。この多様性は、フライドポテトと合わせる際に、好みやその時の気分に応じて選択できる楽しみを広げてくれます。

このように、フライドポテトに合う最強酒を選ぶとするなら、わたしのこたえはシャンパーニュとなります。とりわけ、まるで天使のようなやさしさとぬくもりを感じさせる酸味が特徴の「オージェンヌ ミレジメ 2011」はオススメ。このヴィンテージシャンパーニュは、90ヶ月もの長い瓶内熟成による厚みのあるコクときわめて微細でクリーミーな泡立ち、樽香を感じさせるようなエッジの効いた焦げ香が魅力であり、フライドポテトのシンプルな塩味と見事にマッチします。

フライドポテトに合わせたいときは、ガス圧が強くきめ細やかな泡立ち、スパイシーな焦げ香、ナチュラル感のあるやさしい酸味の三拍子がそろったシャンパーニュをお選びください。最強のペアリングとして、あなたに格別の喜びを提供してくれるはずです🥂✨

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土と対話する男

これまでの人生でもっとも衝撃を受けた生産者をひとりあげるのなら、アレクサンドル(シャルトーニュ・タイエ現当主)かもしれません。レ・ ウルトビーズもシュマン・ド・ランスも、わたしにとって記憶に残るシャンパーニュです。

 


 シャルトーニュ・タイエといえば、メルフィ村。メルフィ村といえば、アレクサンドルといっても過言ではありません。シャンパーニュの神様が選んだ、新進気鋭の若手醸造家です。なんといっても、アレクサンドルの特筆すべき点は、土壌と真摯に「対話」する点でしょう。対話とは、相手と向き合うこと。メルフィ村の土壌は、砂が多く、粘土・石灰が複雑に交じり合う独特な土壌です。一見扱いにくいその〝カオス〟的な土壌と区画毎に向き合い、植樹するぶどうの品種とその可能性をさぐるのが彼の懐の深い考え方です。

 


結果として、シャルトーニュ・タイエのシャンパーニュはいずれも、さわやかに際立つレモングラスのようなハーブの香りが心地よく、白亜土層やジュラ層を思わせる純度の高いミネラル感のある深い味わいになっています。〝低〟ドサージュならではの甘さを抑えたピュアでドライな味わいに加え、凝縮した果実の風味と調和の取れた美しい酸味が全体のまとまりをよくしているのです。

 


このように、それぞれの区画毎の土壌がもつ特性を自然に引き出すことに情熱を傾け、自然の摂理に極力逆らわないアレクサンドルのアプローチは、シャルトーニュ・タイエがリリースするすべてのシャンパーニュに、際立った個性と深みをもたらしています。

 


土壌と真摯に対話する男、アレクサンドルは、メルフィ村の豊かなテロワールと、シャンパーニュの新たな魅力と可能性を発信し続けています。土との対話を通じて生まれる彼の至高すぎる作品は、シャンパーニュを楽しむ人にこのメルフィ村の土壌とテロワール、そしてサステナブルなストーリーを伝えるメッセージとなっているのでしょう。

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大阪で「くわ焼き」を召し上がれ

みなさま、「くわ焼き」をご存知でしょうか。くわ焼きとは、農作業用の〝鍬(くわ)〟を鉄板にし、その上で野菜や肉を焼くという料理のことです。いうまでもなく鍬とは、田畑を耕したりならしたりする、平たい鉄に柄(え)のついた農具。その昔、野良仕事の合間に、捕った野鳥を鍬の上で焼いて食べたことがその名前の由来だそうです。思わず、「なんで鍬の背で焼くねん!」とツッコミを入れたくなるところですが、いかにも大阪人らしい〝遊び心〟を感じるエピソードです。

シャキシャキとした食感の「みょうがの肉巻き」は、豚肉の旨味とみょうがのさっぱり感がバランスのよいひと品。バロンアルベール・ジャンドラフォンティーヌの「ブランドブラン」なら、エッジの効いた繊細な酸で、豚肉の旨味を引き立てます。一方「シイタケの肉詰めチーズソース」は、シイタケの凝縮感ある旨味と濃厚なチーズが重なり、ボリューム感満点のひと品。同シリーズのミレジメ(ラマジェストゥーズ2010)を合わせることで、さらに深みのある旨味が加味。それでいて、くどさ感じさせないのは、熟成由来の甘みと、角のとれたまろやかな酸のおかげ。シイタケからあふれるジューシーな旨汁を包み込んでくれます。

鍬(くわ)によく似た形状をしているのが、鋤(すき)という農具。刃を土に差し込み、自分の方に引く(鋤〘す〙く)ように使います。幅の広い刃に、まっすぐな柄をつけた鋤のほうが、焼きやすいに違いありません。しかし、「鋤(すき)焼き」となれば、京都発祥の〝牛〟の「すき焼き」があったため、まぎらわしい理由から避けたのかもしれません。いや、京都への対抗心から誕生したのかもしれませんね。いずれにせよ、大阪こそ「くわ焼き」の発祥の地。「たこ焼き」や「お好み焼き」だけが、大阪を象徴するソウルフードではありません。大阪を訪れた際は、ぜひ「くわ焼き」も候補のひとつにあげてくださいね✨✨

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同じ名前でも違うモノ

世界の料理には、同じ名前でも国によって食材やつくり方が違うものがあります。たとえば、春巻。中華料理の定番メニューのひとつである春巻きは、小麦粉でできた皮で具材を棒状に包み、油で揚げるというのが一般的です。一方、ベトナム料理での「春巻」は、いわゆる〝生春巻き〟。小麦粉ではなく、米粉でつくったライスペーパーで新鮮な食材を包み、甘酸っぱいタレをつけて食べる、というスタイルです。 

ワインの世界でも同じ。たとえば、スパークリング(発泡性)ワイン。スペインではカヴァ、イタリアではフランチャコルタやプロセッコ、フランスではクレマンなど、同じスパークリングワインというカテゴリーであっても、国によってつくり方が異なります。いうまでもなく、フランスのシャンパーニュ地方で生産されるスパークリングワインを「シャンパーニュ」と呼びます。「グルミエ・ブリュット・キュヴェ・エヴィデンス」のような風味が豊かなシャンパーニュを楽しむということは、シャンパーニュ地方の豊かな土壌、伝統的な製法、厳格な品質管理、そして何世紀にもわたる熟練の職人技が織りなすストーリーを体験しているともいえます。

世界の料理やワインの多様性は、地域ごとに根づいた歴史、気候、文化、そして磨かれた技術の結晶であることを示しています。なぜ、特定の地域で独自の料理や飲み物が生まれ、なぜ、それが大切にされてきたのかを深く洞察することは、その地域の人々の価値観や生活、歴史を理解することにつながります。このような理解を深めることで、わたしたちは異なる文化を尊重し、学び、共有することの大切さを再認識することができ、多様性のなかにも共通の価値を見出し、相互理解を深めることにつながるのかもしれませんね。 

 

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