未知なるマリアージュの世界へようこそ!

私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

ロッシーニには、黒ぶどう主体のワインを

ヒレ肉が定番の〝ロッシーニ風〟は、食材をフォアグラとトリュフでいただく逸品料理。

そのロッシーニに合わせていただきたいのが、黒ぶどう主体のワイン。黒ぶどう特有のコクとふくよかさが、濃厚なフォアグラ、芳醇なトリュフのソース・ペリグーと融合し、新たな極上料理〝ノワールロッシーニ〟に昇華します。

 

なかでも、シャンパーニュキャティア/アンティーク・1erクリュ・ブリュット》との相性は格別。黒ぶどうは、ゆたかな果実味と独特の苦味が特徴のピノ・ムニエと、力づよいコクが持ち味のピノ・ノワールを使用。「ロッシーニ風鴨のコンフィ」と合わせると、パリッと焼かれた香ばしさと、ソース・ペリグーの魅惑の芳香がきわだち、一体感をました鴨とフォアグラの凝縮感ある旨みを堪能できます。

 

ぶどう品種の特徴を頭だけでなく五感で理解し、料理との相性を意識する。マリアージュを考える上で大切なことですね🍷

 

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動的な熟成味、ポメリー1985

シャンパーニュには、残糖量もしくは、甘辛度をあらわす表示の記載が義務づけられています。なかでも生産量がもっとも多いのが、残留糖分12g/ℓ 以下の「ブリュット(辛口)」。このブリュット・シャンパーニュを世界ではじめて造った人物こそ、マダム・ポメリーです。

その先駆者がつくるブリュット・シャンパーニュ。特筆すべきは、キュヴェごとに熟成のしかたが大きく異なる点です。

 

たとえば今回の《ブリュット・ヴィンテージ1985》は、甘みに負けない酸が躍動的にひろがり、35年経とうとも、背筋が伸びるようなキリッと感。現行のNVと同時比較すると、その偉力は明白です。かつてご紹介した《ルイーズ・ブリュット1985》が〝静的な熟成味〟であったのに対し、〝動的な熟成味〟をみせるブリュット・ヴィンテージ1985。

 

そんな1985は、仔羊のグリルとともにお楽しみください。ジューシーな肉汁から甘みが最大限に引き出され、ほんのり薫る獣香、シャンパーニュの焦がしたシュガーバターの芳香、ソース代わりの燻製モッツァレラがその美味しさをさらに引き立てます。

 

〝静的な熟成味〟と〝動的な熟成味〟。おなじ経年であれ、キュヴェのコンセプトがことなれば、熟成味に対照的なまでの違いが生まれる。これこそが、マダム・ポメリーが後世に伝えたかったメッセージかもしれませんね🥂

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イチゴのデザートには熟成シャンパーニュ

フルートグラスにイチゴを浮かべていただく「シャンパンベリー」。フルーツのなかでも、とくにイチゴとシャンパーニュの相性は抜群です。

 

そのイチゴがデザートにアレンジされた際は、熟成シャンパーニュで楽しむのがわたし流。熟成でまろやかなった酸がデザートをすっきりとした甘みに変え、芳醇さがアルコール度数の高いラム酒をフランベしたかのように〝おとなテイスト〟に仕上げてくれるからです。

 

なかでも生クリーム系には、主要品種にピノ・ブランが含まれる《エリック・シュレイバー》の熟成を。ピノ・ブランは熟成すると、生乳となめらかに絡む果実味と酸味を呈します。クリームのコクが増し、デザートの味わい全体がボリュームアップするイメージです。

 

一方、チョコレート系には《タルラン/キュヴェ・ルイ》のように、シャルドネピノ・ノワールが半量ずつブレンドされた熟成もの。このキュヴェ・ルイはノン・ヴィンテージでありながら、瓶内二次発酵と澱(おり)熟成の期間が15年という驚異的な長さが特徴です。シャルドネの繊細な酸味とピノ・ノワールの甘味の相互作用で、甘酸っぱいイチゴに凝縮感がうまれ、チョコレートとの相性がさらによくなります。

 

ショートケーキからパフェ、アイスクリームなどさまざまなイチゴを楽しめるデザートビュッフェ。ぜひ、熟成シャンパーニュとともにお楽しみください🍰🥂✨

 

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海苔の産地を意識せよ

和食が無形文化遺産に登録されるなど、いまや世界中で注目されている〝UMAMI(旨み)〟。その三大成分とは、昆布の「グルタミン酸」、かつお節の「イノシン酸」、干し椎茸の「グアニル酸」をさします。

 

この三大旨み成分をすべて含む稀代の食材が「海苔」。その旨みの濃さから〝海のワイン〟と呼ばれるほどです。

 

そんな海苔の旨みの引き立て役が、シャンパーニュ。とくに、とろけるような食感と甘みの有明海苔にはシャルドネのブラン・ド・ブランがおすすめ。クリアでシャープな味わいが上品な海苔の風味をひときわ際立せるのです。また、食べごたえある厚みと磯のかおりが特徴の瀬戸内海産にはピノ・ノワールのロゼ・シャンパーニュ。濃厚な旨みがおり重なり、海苔はいっそう深みをまします。

 

《ブルーノ・パイヤール》はその双方を手掛けるRM。《ブラン・ド・ブラン・グラン・クリュ》は酵母量を最小限におさえて瓶内二次発酵されるので、ぶどう本来の旨みが残り泡圧が低く仕上がります。シャープさの中にあるこの繊細さが、有明海苔の存在感をより高めてくれるのです。

 

一方《ロゼ・プルミエ・キュヴェ》はマセラシオン(醸し)を長めにおこなうことで、果皮成分をゆっくりと抽出。深みあるサーモンピンクを呈し、絶妙な渋みと複雑味が瀬戸内海苔の力づよい磯の風味を助長します。

鮨ダネやシャリだけでなく海苔の産地にまで意識を向けると、鮨とのマリアージュをなおいっそう楽しむことができます🥂✨

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まぐろの希少部位には、ドラピエのセカンド

まぐろといえば、〝赤身〟と〝トロ〟。

ドラピエといえば、«カルト・ドール»。

 

三者の相性はさることながら、希少部位の〝ほほ〟〝あご〟〝脳天〟までもいただけるとあれば、ドラピエのセカンドラベル«レカミエ»をあわせたい。

 

レカミエは六年前に一度だけ日本に輸入され、ここ四年間はリリースさえもされていないとても稀有なセカンドシャンパーニュ。とくに興味深い点は、ピノ・ノワールピノ・ムニエシャルドネブレンド比率はカルト・ドールと同じであり、双方の違いが〝単一年〟か〝複数年〟のブレンドか、ということです。

 

単一年のカルト・ドールは、鮮度とミネラル感が際立った早飲みタイプ。85パーセント含まれる黒ぶどうの旨みが赤身やトロの旨みに累加します。一方、複数年ブレンドのレカミエは、数年間の熟成を経ることでそのポテンシャルが開花。今回のレカミエはアッサンブラージュから八年が経過し、甘み、酸、苦味が一体感をなして、ワインに溶け込んでいます。肉のような食べ応えのほほやあご、トロのように脂ののった脳天を食したあとにひとくちふくむと、希少部位の特徴が余韻にまで、鮮明に浮かびあがります。

 

絶妙な味わい差を楽しむ、シャンパーニュのファースとセカンドの同時抜栓。まぐろの佳味を余すことなく堪能できる、至高の楽しみ方です🍾🥂✨

 

 

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マグロ鮨には熟成ワイン

部位ごとに多彩な味わいをみせるマグロ。なかでもとくに人気の鮨ダネが赤身、中トロ、大トロです。

 

このマグロ三貫に熟成ワインを合わせのも、わたしの鮨の楽しみ方。経年変化でまろやかになったワインが鮨をやさしく包み込みむように、赤身の旨み、脂のコク双方と調和します。

その際、注目していただきたいのが味のグラデーション。赤身、中トロ、大トロと食べ進めると、減少する鉄分の酸味と増加する脂の甘味で味わいにグラデーションが起こります。ワインもこのグラデーションを意識して選定すると、鮨との相性が抜群に良くなります。

 

たとえばシャンパーニュとシャブリの熟成ワイン。ともにフランス北部に位置し、長期熟成に耐えうる豊富な酸をもつワインです。シャブリはシャルドネ単一品種であるのに対し、シャンパーニュは複数の品種をブレンドし、瓶内二次発酵とドザージュという複雑味をもたらす工程をふみます。つまり、風味の構成要素が異なる双方はたどる熟成プロセスも異なり、マグロ鮨のグラデーションに溶け込む、絶妙な味わい差異が生まれるのです。

 

おすすめは、赤身~中トロに熟成シャンパーニュ、中トロ~大トロに熟成シャブリを合わせます。熟成シャンパーニュの「苦み」が赤身の旨みを引き立て、熟成シャブリの「甘み」がトロの濃厚な脂と融合するからです。シャンパーニュ《シャルル・エルネール1998》であれば、すこし焦げ色のついたクロワッサンを想わせる苦みとコク。《アルベール・ピック/シャブリ1erモンドミリュー1988》であれば、真空状の〝純旨みカプセル〟から溶け出したかのような、甘やかな風味とミネラル感が特徴。

 

熟成ワインの千差万別の「苦み」と「甘み」が、マグロ三貫食べ比べをおおいに楽しませてくれます🥂✨

 

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畑がわかると、もっとおもしろい

おなじ村内でも畑の位置によって気候条件がことなり、ワインの味わいにも違いが生じます。たとえば、ブルゴーニュの銘醸地「ジュヴレ・シャンベルタン」村。優良畑が村の南北に並んでいます。北側は標高が高いことも相まって酸とミネラル感がつよまり、南側では凝縮感ある果実味の力づよいワインに。

 

今回ご紹介する〝シャンポネ〟という畑は中程に位置し、ジュヴレ・シャンベルタン村の特徴を知るには最適な一本といえます。このシャンポネを2013年から手掛けているのが《フィリップ・シェロン》。彼の祖父ポール・ミセが1930年代後半にヴォージュとニュイ・サン・ジョルジュの畑を購入したのが、このドメーヌのはじまりです。現在は70%以上をしめる50年来の古樹を、できる限り自然な状態で生育させることをモットーに、肥料、除草剤、殺虫剤の使用をきびしく制限。

 

そんなフィリップ・シェロンの《ジュヴレ・シャンベルタン・1erシャンポネ2014》は鮮やかな濃厚色で、スミレなどのフローラルとリコリスなどの甘苦スパイスの芳香。味わいにはプレモー石灰岩による繊細なミネラル、まるみを帯びたエレガントな酸、シルクのようになめらかタンニンが共存しつつ、芯の通った力づよさを感じます。これぞ〝ザ・シャンポネ〟であり、ジュヴレ・シャンベルタンらしさがよくあらわれています。

 

合わせる料理は、味の輪郭やコントラストがはっきりとした魚料理がおすすめ。「パセリのソースでいただくマグロの低温調理」は、ふっくらとしたマグロの旨みが芳醇なワインで引き立ち、鮮烈なパセリの苦みでさらに風味豊かな一皿へと昇華します。

 

ジュヴレ・シャンベルタンらしさを理解しながら、シャンポネにも注目する。つまり村だけでなく、畑の特徴もわかるようになるとワインはもっと楽しくなります🍷✨

 

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