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私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

コルクのカビは、ワインの守護神

一般的に「カビ」と聞くと、多くの人が家の壁や食べ物に生じる不快なものとして想像しがちです。しかし見方を変えれば、カビは驚くべき益をもたらす存在にもなります。とくに食品業界では、カビを利用してチーズの風味を深める熟成プロセスが知られています。チーズだけでなく、実はワインの世界においても、カビは黒子の役割を果たしています。

ボトルのコルクに発生したカビは一見すると問題の兆候にみえるかもしれませんが、実際にはこれが最適な保存状態の証となることもあります。理想的なワインの保存条件とは、暗くて湿度が高い環境です。このような環境はカビが自然に繁殖する場所であり、コルクに見られるカビの存在は、ワインが良好な状態で熟成している可能性を示唆しています。

科学的には、コルクに生じるカビは空気中の湿度を利用して、微小な空間を通じてワインへ微量の酸素を供給します。この酸素が緩やかにワインと反応し、熟成を促進させるのです。たとえば、今夜抜栓した「シャトー・オー・バタイエ1978」に見られた、コルクとキャップシールに付着していた大量のカビ。そのおかげで、46年もの長い歳月をかけて醸成された、優雅でビロードのような舌触りと、深みと奥行きのあるやさしい味わいを存分に楽しむことができました。

ヴィンテージワインを抜栓したとき、コルクのカビを見つけた瞬間、わたしは期待感が高まります。カビが熟成過程に果たしている重要な役割を理解し、カビを見て興奮を覚えるようになると、あなたもワイン上級者の仲間入りです。おいしいヴィンテージワインの背景には、熟成を助ける守護神として、この小さな生物が存在しているのです。

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