未知なるマリアージュの世界へようこそ!

私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

プイィ・フュメの守備範囲の広さ

フランスを代表する白ワインのぶどうの品種といえば、シャルドネソーヴィニヨン・ブラン。香りも味も、両者はさまざまな点で相違があります。

 

たとえば、香りが控えめなシャルドネよりも、ソーヴィニヨン・ブランはハーブ系のみずみずしい香りが特徴です。味わいにおいても、栽培地域ごとでの差が大きいシャルドネに比べると、酸味が強く、柑橘系の風味がソーヴィニヨン・ブランの代名詞といえるでしょう。

 

なかでも、ソーヴィニヨン・ブランの三大銘醸地のひとつ、フランスのロワール地方で生産されるのが、プイィ・フュメという白ワインです。今夜は「プイィ・フュメ・レ・アンジェロ マッソン・ブロンデレ」の2014年を抜栓。その煙たい鉱物質のニュアンスと、丸みのある酸味、そしてレモングラスのような柑橘系の香りが漂います。

 

プイィ・フュメのさわやかな酸味が、ヒラメやタイなどの脂の少ない白身魚の繊細な味わいを引き立てます。ハーブや柑橘を加えた軍艦巻きや、ネギトロにシソやミントを混ぜ込んだものもまた、プイィ・フュメの柑橘系やハーブの香りと相性はすこぶるよいでしょう。イカに少しのレモンを添えたものも、さわやかな特性と見事に調和します。

意外と知られていないのが、いくらとはかなり相性が良いということです。プイィ・フュメの酸味がいくらの脂っぽさを中和し、フレッシュな柑橘系の香りがいくらの海の風味を引き立てます。いくらには旨味成分が豊富に含まれており、プイィ・フュメのミネラル感と相まって、相互に味わいを高め合うからでしょう。

このように、ソーヴィニヨン・ブランの守備範囲はかなり広く、「繊細な白身魚、いくら、そして柑橘やハーブを用いた鮨」などがプイィ・フュメと相性の良い鮨ダネの一例です。鮨とワインのマリアージュは、それぞれの特性とテクスチャーのバランスを楽しむ、最高の美食の旅といえそうですね✨

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引き寄せの法則

今月はブラン・ド・ノワール、来月はドサージュゼロなど、わたしは毎月テーマを掲げ、シャンパーニュを楽しんでいます。またそれを周囲に公言しているため、ありがたいことに「素敵なワインが入ったよ」とか「一度、飲んでみて」とか、さまざまな方が声をかけてくださいます。

 


先日も知人のソムリエさんから、「◯◯ちゃん、幸運の女神が微笑んだよ」と連絡が入ったので、すぐさまレストランを訪れました。わたしを〝待ってくれていた〟のはパスカル・ルジューヌの「ブリュットキュヴェムニエ/ヴィエーユ・ヴィーニュ」。今月のテーマは「ピノ・ムニエ100%」だったからです。

 


テーブルに着くやいなや、生湯葉と生うにのコンソメジュレを添えて、おすすめのシャンパーニュを驚くほどスタイリッシュなフルートグラスに注いでくれました。照明の光を浴びてきらきら輝く泡立ちが、期待値をよりいっそう高めます。〝ピュア・ムニエ〟から生まれる芳醇なアロマ、ほんのり焦げ香、その繊細かつ深みのある味わいが、舌の上で優雅に踊ります。

 


シャンパーニュとの出会いは、いつも運命的なものを感じます。それは毎月異なるテーマを設定し、それを周囲に公言することによってもたらされることが少なくありません。「縁は求めざるには生ぜず」とは、哲学家、森信三先生の言葉。シャンパーニュもまた求め続けなければ、運命的な出会いを〝引き寄せられない〟ともいえるのかもしれませんね🥂✨

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日本の白身魚の楽しみ方

訪日される外国人のみなさまへ。日本の白身魚の魅力とその召し上がり方をご紹介します。ひらめ、たい、クエ、ふぐ、のどぐろ、金目鯛など、日本ではさまざまな種類のおいしい白身魚が楽しめます。これらの魚は独特の食感と淡泊な味わいが特徴で、日本の料理文化では大切にされています。


特筆すべき点は、これらの白身魚は非常に多様な食べ方で楽しめる点です。刺身や鮨としての〝生〟から、焼く、煮る、蒸すなど、食べ方の選択肢が実に豊富。自分の好みや興味にあわせて、白身魚が楽しめます。


なんといっても白身魚は「塩」との相性が抜群。日本にはさまざまな種類の塩があり、白身魚にそれぞれ異なる風味を加えてくれます。特におすすめしたいのが、藻塩、海老塩、抹茶塩といった特別な塩。藻塩は海藻の香りが豊かで、白身魚の繊細な味わいを引き立てます。海老塩は、その名の通り海老の風味が特徴で、独特の風味を楽しむことができます。抹茶塩は抹茶のほんのりとした苦味と香りが、魚の味わいを新鮮なものに変えてくれます。


そんな白身にはセパージュのバランスが素晴らしく、きれいな酸の輪郭が浮き立つシャルル・エドシックがよく合います。焼き立てのブリュオッシュの香ばしい香り、やわらかな口当たりに上品な苦み、きめの細かいクリーミーな泡で鮨ダネをやさしく包み込み、白身の繊細さを引き立てます。日本の白身魚は、日本の食文化を象徴する存在。ぜひさまざまな料理や、異なる種類の塩との組み合わせをお楽しみください。きっと、日本の料理の奥深さとその繊細な味わいの世界に触れることで、訪日体験がより豊かなものになるはずです。

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トレーサビリティに本気で向き合うメゾン

トレーサビリティとは、商品の生産から消費までの過程を追跡することを意味します。近年では安心・安全意識の高まりから、自動車や電子部品だけでなく、医療や食品まで幅広い分野に広がっています。

 


トレーサビリティの推進に最も近いシャンパーニュ・メゾンといえば、「テルモン」。ギフトボックスの廃止、再生ガラスのボトル使用、再生エネルギーおよびバイオマス燃料の100%実現、オーガニック栽培への取り組みなど、ESGを地で行くシャンパーニュ・メゾンです。

 


いうまでもなくESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を取った言葉であり、 目先の利益や評価だけではなく、環境や社会への配慮、健全な管理体制の構築などによって持続可能な発展を目指す稀有なメゾンとして有名です。

 


伝統的にシャンパーニュのエチケット(ラベル)に記載される情報は、生産者名や生産業態、シャンパーニュの種類、残糖度などですが、「テルモン」は他とは一線を画しています。デゴルジュマン(〝澱抜き〟した年)やセパージュ(ぶどう品種の組み合わせ)、ドザージュ(糖分添加量)、製法、メゾンのマニフェストまで、消費者目線に立った情報開示を行うメゾンはほぼ存在しないといっていいでしょう。

 


伝統とは革新の連続。これまでのエチケットの記載情報が「常識」と考えるのではなく、より透明性を求める消費者の声に応えるカタチで、いまもなお「テルモン」は進化し続けています。こだわりの栽培方法や倫理観、持続可能性に関する取り組みなどオープンに情報開示し、各ボトルのシリアル番号を通じて、トレーサビリティに本気で取り組む「テルモン」のような生産者が今後どんどんあらわれることを切に願っています🥂✨

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「苑」と「円」を通じて育まれる「縁」

日本の焼肉店で多く目にする「苑(えん)」という屋号は、深い意味を持っています。この漢字は、広々とした庭園や公園のように、人々が集まり、楽しく素敵な時間を共有する場所であることを示唆しています。「苑」を冠する場所は、人と人との「縁(えん)」を結び、深める場所ともいえるでしょう。

 


こうした「縁」の形成において、アルコールは昔から効果的な役割を果たしてきました。とくにワインは、その豊かな香りと味わいで、世界中の多くの地域で親しまれ、食事の楽しみをいっそう高めるとともに、相手との距離を縮める役割も担っています。

 


きょうはとりわけ良質のホルモンが入っていると、オーナーが合わせてくださったのが「ドメーヌ・ド・シュヴァリエ2013」。葉巻、甘草、ジビエの香りに、ピリッと黒コショウのアクセント香。シルクのようななめらかな舌触り、丸みを帯びたやわらかい果実味が特徴です。ホルモンのなかでも、とりわけ「心臓」の凝縮感ある牛の旨味と絶妙に調和します。

 


今夜の焼肉店が良質な炭とともにこだわるのが、まあるい「円(えん)」形状の網です。肉の旨味とやさしいタンニンが互いを引き立てあうように、ワインとのペアリングもまた友人との関係性をより深い「縁」へと昇華させてくれました。「苑」がもつ文化的な意味合いと「円」がもつ物理的な形状は、「縁」を育むために重要なファクターかもしれない、そんな哲学的なことを考えながら、今宵も美味しいお肉を頬張っています。

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「塩」による対比効果

味覚の世界には、「対比効果」という現象があります。これは、異なる味を組み合わせることで一方の味を際立たせることを意味します。「塩」は、この効果を体験するには最適な例でしょう。たとえば、塩を加えることでスイカの甘さがより際立ち、塩を振ったイカの鮨ではイカの甘みがいっそう強調されます。

 


アルコール飲料においても、この対比効果は明確に見られます。日本酒の大吟醸のように、そのすっきりとした甘さを引き立てるために塩を添えて楽しむこと、またはグラスの縁に塩をつけて供されるカクテルがその例です。ルイ・ロデレールのような厚みがあって余韻の長いシャンパーニュも、ひとつまみの塩を加えることで、その深みと複雑性が増し、新たな味わいを発見することができます。

 


日本の塩は、砂濾過や膜透析といった先進的な製造方法により完全無菌で生産され、「世界一安全できれいな塩」と称賛されています。この純粋でクリアな塩味が、食材の甘みを引き立て、対比効果を最大限に引き出します。日本を訪れる外国人のみなさまには、ぜひこの上質な「塩」との対比効果を探求し、予期せぬ喜びをご体験いただきたいと思っています。

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アペリティフのすすめ

フランスでは夕暮れとともに、アペリティフを楽しむ時間が訪れます。アペリティフとは直訳すると「食前酒」ですが、広義では食前酒を楽しむひとときそのものを意味します。
この風習は、18世紀末の貴族社会からはじまり、やがて階級を超えて国民全体に広がりました。いまやフランス人にとってアペリティフは単なる食前酒ではなく、会話を促す重要な〝儀式〟であり、友情を深める親交の場としての役割を担っています。

今夜は、幼なじみとの食事会。選んだアペリティフは、「ヴーヴ・フルニ・エ・フィス ブリュット プルミエ・クリュ グラン・レゼルヴ」です。このシャンパーニュは、木苺やラズベリーの微かな酸味と夏の完熟メロンを思わせる豊かな甘みを放ち、なぜか幼少期の通園路で感じた甘美な香りと重なり合います。20年ぶりに再会する互いの緊張を解きほぐし、懐かしい思い出話に花が咲いたのも、アペリティフのおかげでしょう。

久しぶりに再会する友人との食事には、わたしは必ずアペリティフを設けるようにしています。心の扉を開き、相手との距離を縮め、心理的な安心感をもたらすのがアペリティフの役割。みなさまも、旧友との再会を祝うために、夕食前にホテルのラウンジやリラックスできるバーなどでアペリティフを取り入れてみてはいかがでしょうか。

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