未知なるマリアージュの世界へようこそ!

私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

人類の叡智から考察する

「燻製」の香りと「シャンパーニュ」の香り。食欲をそそるのはなぜでしょうか。それは、どちらも先人の知恵と工夫がつまった香りだからです。


「燻製」の歴史は、人類が狩りをしていた時代までさかのぼります。食料の生肉(魚)を少しでも長持ちさせるために、太陽の下で乾燥させたのが始まりだといわれています。それを焚き火で燻(いぶ)すことで、さらに保存性がたかまり、煙の香りで風味が格段に増したというわけです。


一方「シャンパーニュ」は、気温の低下でアルコールが発酵が止まってしまったワインを、樽のまま放置。発酵過程でできた二酸化炭素がワインに溶け込んで発泡していたのが始まりです。それを意図的につくり出したのが、瓶の中に酵母をいれて密閉する「瓶内二次発酵」という方式。シャンパーニュの香りを、ブリオッシュやパンドミーと表現するのは、この酵母イースト)に由来します。また、芳ばしいロースト香は、樽由来。樽は、木材を丸くしならせて繋ぎ合わせるのですが、材質が硬いため、内側を火で炙(あぶ)ってやわらかくするのです。その際にできる〝焦げ〟の成分がシャンパーニュに溶け出し、芳ばしい芳香を付与します。


そんな芳醇な香りを強く感じるのは、20年近く時を刻んだ≪フランソワーズ・ベテル/ブリュット≫。霜につよく耐寒品種であるピノ・ムニエを主役にしたシャンパーニュです。長期熟成によりシャンパーニュの成分の一部が〝炭化〟してうまれた芳香は、スモーキーなうずら卵の燻製と相性がすこぶるよいのです。味が濃厚に染みんだ黄身と熟成ムニエのやわらかく凝縮された果実味が、とろけるように融合します。


〝燻す〟も〝炙る〟も、新しい食文化を生み出した人類の叡智(えいち)といえます。マリアージュをより深く楽しむには、ときには歴史的観点から考察することも大切なこともしれませんね。

 

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