複数のグラスにワインを同量ずつ注ぐ。素人には至難のわざです。熟練したソムリエがスマートに注ぐ姿は、見る者の目を奪います。
今回、端正に揃ったグラスでいただくのは《マーテル・アスランジェ》。1869年創業の老舗メゾン、G.H.マーテルがてがけます。ピノ・ノワール、シャルドネ、ピノ・ムニエが混合された白とロゼ。3年以上の瓶内熟成に、リザーヴワイン20%。ノン・ヴィンテージとは思えないリッチな味わいです。さらにブリュット(辛口)のなかでもたかめの残糖量(10g/l)で、ふんわりとした優しい印象。シャリが甘めの、関西の鮨にはぴったり。とりわけ、洋ナシや完熟リンゴを想わせる白。甘味のある「生ホタテ」とよくあいます。対して、イチゴをかじったようなロゼには「トロ」。この時季、脂があっさりとした長崎産天然マグロの、上品な旨味をひきたてます。
ひとは左右対称のものに、美しさや安心感などの好感を抱くもの。グラスに注がれたワインも、この〝シンメトリー効果〟でさらにおいしく感じます🥂✨