未知なるマリアージュの世界へようこそ!

私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

〝黒子〟に撤するシャンパーニュ

単独ではどこかものたりなさを感じるワインでも、食事といただくと料理を抜群に引き立ててくれるワインが存在します。

 

さわやかな酸とバランスのとれた果実味の《ポル・ジェス・ブリュット》はまさにその一本。ほぼ黒ブドウで構成され、厚みとコクがありつつ、ガラスのような透明感。天然黒アワビの刺身と合わせると、自身の存在感を消し、磯の香りとアワビの繊細な旨みを極限にまで引き立てます。こりこりとした食感も相まって、口のなかでアワビの輪郭がくっきりと浮かび上がるのです。

 

素材そのものの旨みを味わう料理には、ひかえめでやさしいテイストのワインを選びたいもの。あくまでも「料理が主役」がマリアージュの不文律です🍴✨

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〝画竜点睛を欠く〟べからず

鮨の〝仕上げ〟に煮きり(しょう油)や煮つめ(甘辛たれ)をぬって提供するのが江戸前鮨。かつては屋台での立ち食いが一般的で、手早く食べられるスタイルが江戸っ子に好まれたという背景があります。

 

その〝仕上げ〟にはどんなワインが合うかと思案するのも、鮨マリアージュの楽しみ方のひとつ。濃い味がつけば厚みのあるシャンパーニュ、さっぱりした味なら繊細なフィネスを感じるシャンパーニュを合わる、といった具合です。

 

たとえば、煮つめでいただく穴子鮨。まったりとしたツメの甘みに、穴子の旨みと《アラン・ベルナール/ブリュット・1erクリュ》の厚みあるコクが重なると、鮨は深みをまして一層ゆたかな味わいに。また、塩でいただく伝介穴子には、単一区画のシャルドネから造られる《ブラン・ド・ブラン・1erクリュ・ブリュット》。肉厚の身をかむたびにあふれる旨みが、塩の塩味とシャルドネの繊細な酸によって引き立てられ、口いっぱいに広がります。この造り手は芳香成分の観点から、ドザージュの際に砂糖(サトウキビ)や甜菜糖(ビーツ)ではなく、MCR(ぶどう果汁の濃縮)を使用するというこだわり。このまろやかで芳醇な香りもまた、酢飯との相性を向上させます。

 

いうなれば、煮きりや煮つめのひと塗りが江戸前鮨の「画竜点睛」。鮨とのマリアージュも〝画竜点睛を欠く〟ことのないよう、鮨ダネに合うワインを選びたいものですね🥂🍣✨

 

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鯛にはマイィ

白身の鮨ダネといえば〝鯛〟。淡泊でありつつ、繊細な旨みと上品な甘みがたいへん美味です。

 

そんな鯛には、グラン・クリュ「マイィ村」のシャンパーニュを合わせてみてほしい。ピノ・ノワールはエレガント、シャルドネはまろやか、と他のグラン・クリュとはことなる独特な個性を放つマイィ村。生産者組合である《マイィ・グランクリュ》のラインナップは、いずれもピノ・ノワール主体で、気品あふれる淑女を彷彿とさせます。

 

真鯛に《ブリュット・レゼルヴ》を合わせると、25%含まれるシャルドネ真鯛の上品な甘みを包み込むかのよう。白甘鯛の昆布じめと《ブラン・ド・ノワール》であれば、旨みが凝縮した鮨ダネとピノ・ノワール100%のコクに一体感がうまれます。

 

鯛やヒラメのように淡泊な鮨ダネに、マイィ村のようなエレガントなシャンパーニュを合わせる。鮨マリアージュを楽しむ際のご参考になれば幸いです🥂✨

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アペリティフにはシャンパーニュ

ヨーロッパで古くから親しまれている食文化のひとつが「アペリティフ(食前酒)」。わたしたちも、本格的なディナーの前に軽くアペリティフを楽しむ習慣を身につけたいもの。

 

そんなアペリティフにうってつけなのが《アンリ・デュボア/ブリュット》と《ピエール・ダルシー/ブリュット》。ともにシャルドネピノ・ノワールピノ・ムニエの3種ブレンドで、ほのかな苦みが特徴的。ぶどうの産地であるコート・ド・セザンヌ地区とコート・デ・バール地区は、シャンパーニュ地方の南に位置し、比較的温暖な気候。すこし丸みのある酸が、心地よくしみわたります。

 

食前酒には辛口であり、苦味と酸味のバランスが絶妙なシャンパーニュがおすすめ。のど越しがよく、ほどよい苦味とさわやかな酸味が、食欲をつかどる脳の摂食中枢をやさしく刺激します🍾✨

 

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「光りもの」のススメ

あがり(お茶)、ぎょく(玉子)、がり(しょうが)のように、鮨屋ならではの呼び名があります。「光りもの」もそのひとつ。皮目が銀白色にかがやいていることがゆえんで、サンマやアジといった青魚と、キスやサヨリなどの白身をさします。

 

足が早いため、多くが〝酢じめ〟にされる光りもの。魚種が違えばもちろんのこと、同じ魚種でも季節によって脂ののり方や身の大きさが変化し、また地域によっても好まれる味が異なるので、その〝しめ方〟に店の個性がひかります。

 

そんな光りもの鮨には、甘辛度の異なる二種のシャンパーニュを。鮨の塩味、酸味、甘味の絶妙なバランスとより好相性なのはどちらか、タネごとに楽しみながらいただけます。

たとえば、塩じめのあとに酢だけで軽くしめられた「コハダ」には、極辛口の《ローラン・ペリエ/ウルトラ・ブリュット》。しっとりとした身とコハダ本来の甘みが際立つしめ方で、シャンパーニュのエッジの利いた酸がさらに鮨の旨さを引きたてます。また、砂糖をふくむ調味酢に3時間以上つけてしめられた「サバ」であれば、辛口の《ラ・キュヴェ》。脂ののったサバの旨みがより濃厚に感じられ、あとくちに爽やかな酸味がひろがります。

 

手間ひまかけて仕込み、握られる一貫。ご店主と鮨への畏敬の念で、その旨さがもっとも引き立つワインを選ぶことこそ、鮨マリアージュの深意ではないでしょうか🍣🥂✨

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シャンパーニュ同時比較のすすめ

飲食店で見かける、クラフトビールや地酒の〝飲み比べセット〟。数種類を同時に飲み比べるからこそわかる違いや、おもしろさがあります。ワインも例外ではなく、シャンパーニュであれば、まずは「品種」の飲み比べでそれを体感していただきたい。

 

シャンパーニュの主要品種はシャルドネピノ・ノワールピノ・ムニエシャルドネは繊細なミネラルとエレガントな酸、ピノ・ノワールはふくよかな厚みとコク、ピノ・ムニエは独特の苦みと柔らかな果実味が特徴です。

 

あわせて、シャンパーニュとの相性をあれこれと試せる一口料理が多数あれば、楽しさは倍増するでしょう。たとえば、鮨に見立てた「野菜ずし」といただく、ピノ・ノワール主体の《シモン・ドゥヴォー/ブリュット》と、ピノ・ムニエ主体の《ジュール・ラサール/1erクリュ・ブリュット》の同時比較など。

 

もしシャンパーニュの選定に迷われる場合は、お店の方にセパージュ(品種)を尋ねてみてください。品種の違いを楽しみつつ、料理との相性を探る。マリアージュの感度が高まること間違いなしです。

 

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岩中豚に合わせるワイン

ずば抜けた甘みが特徴の「岩中(いわちゅう)豚」は、岩手県のおいしい地下水と大自然のなかで育った銘柄豚。

その飼育方法のこだわりは細部におよびます。たとえば、〝肉質〟を重視したおよそ180日にわたる飼育期間。ストレスがかからないよう密飼いはせず、高低差のない温度管理にも細心の注意が払われています。通常の豚肉より約2.7倍おおく含まれるビタミンEは、栄養価だけでなく保水性をも高めてくれるので、肉の旨みが逃げません。

そんな岩中豚に合わせるべくは、シルクのようになめらかで、透き通るおいしさが魅力の《ルー・デュモン/ジュヴレ・シャンベルタン2013》。このワインは〝甘み〟と合わせることでまろやかさが倍増し、岩中豚のヒレ肉をよりいっそう深みのある味わいへと進化させます。

ワイン同様、食材もテロワールと生産者の思いがつまった産物。その土地の風景を想い、生産者への感謝の念でいただくマリアージュは、美味しさひとしおです🍷🍽✨
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