ワインは、時の旅人。長い歳月をかけて、未知の可能性を掘りさげ、深い淵へと進化を遂げていきます。その旅路の終着点に立つとき、すなわち抜栓の瞬間、わたしたちは特別な期待感に包まれます。
熟成シャンパーニュは、時とともにいっそうの輝きを放ちますが、リリースしたばかりのさわやかな果実の香りは、熟成がすすむにつれ、蜜に漬けた果実や煎りナッツ、焼き立てのブリオッシュといった多彩な香りへと転化します。
口のなかにひろがる繊細な泡立ちは、時間の経過とともに、シルクのような滑らかさへと変貌し、味わいは複雑さを増しつづけます。甘み、酸味、苦味が巧妙なバランスを保ちながら交錯し、深遠な余韻をつむぎだします。
熟成シャンパーニュの魅力は“美味だけにあらず”。ボトルのなかの液体が時間とともにどのように変容しているのか、抜栓するたび胸は高まります。まるで“アモンティリャード”のような「1982年のドン・ペリニヨン」がわたしに語りかけるものは、時を越える旅人が描く壮大なロマンの軌跡。その旅への同行が許される喜びを今夜も噛みしめています🥂✨
