〝当たり年〟や〝グラン・ヴィンテージ〟とは、一年を通じて理想的な天候に恵まれた年。とりわけ凝縮感のある果実となり、長期熟成に適したポテンシャルのたかいワインがうまれます。
フランスの三大銘醸地、シャンパーニュ・ボルドー・ブルゴーニュにおいて「1982年」は史上屈指のグラン・ヴィンテージ。驚異の生命力で40年が経ったいまなお、飲む人を魅了します。今回の《ドン・ペリニヨン・ロゼ1982》、《シャトー・タヤック1982》もしかり。
前者をたとえるなら、色は麦茶、香りは梅酒、味は味醂。40年の軌跡を体現するかのような佇まいです。通常この経年数でれば、発酵が進んだような不快な酸に支配されることが少なくありません。しかしそれを微塵も感じさせないドンペリ・ロゼ・1982。舌を包み込むような優艶な酸が、造り手とヴィンテージの偉大さを物語ります。「稚鮎のフッリトとトウモロコシ」にやさしい甘味をかさね、料理をひきたてます。一方、シャトー・タヤック1982は、いまだ色鮮やかなガーネットカラーで、エッジの褪色（たいしょく）もほぼなし。香りは湿った土、枯葉、なめし皮。そこに果実の香りが〝残り香〟のごとく漂います。現行の「つよい」タヤックではなく、かつての「エレガント」なタヤックを彷彿とさせる熟成味。まるみを帯びたタンニンが「鮎のリエットとコーヒーチュイール」の苦味にとてもよく合います。
産地別に各年のワインの出来をあらわした「ヴィンテージ・チャート」。ネットでも閲覧可能です。ワインの保管期間の指標のひとつに、ぜひご活用くださいね🍾🍷
