ブレンド法によるロゼ。ヴィンテージ・シャンパーニュ。澱をとりのぞくための動瓶台。これらすべてを世に誕生させたマダム・クリコ。現在にいたるシャンパーニュ界の発展は、彼女なしには成し得なかったといっても過言ではありません。
そんな彼女へのオマージュ(敬意)でうまれたのが、《ラ・グランダム》。まさに〝偉大なる女性〟を冠したプレスティージュ・キュヴェは、数年にいちど生産されるヴーヴ・クリコの最高峰。
今回は、とりわけ貴重な1985年〝旧式〟ボトルを抜栓。現行ボトルに切り替わった時期で、新・旧双方のボトルが混在するレア・ヴィンテージ。くわえて、大寒波で甚大な霜被害をうけるも、屈指の収穫となった歴史的なグラン・ヴィンテージです。ピノ・ノワール63%、シャルドネ37%の《1985》は、36年でじつに美しいアンバーカラーに。熟成した酸の香りとブランデーをおもわせる甘美な芳香。気泡はほぼ感じられずも、いまだへたれず、しっかりと生きています。それは、きわめて美々しい味わい。かつては至極の力づよさであったであろう酸が、このうえなく繊細かつエレガントに経年変化しています。まるで、情熱にあふれるマダム・クリコの、歳を重ねた姿を垣間見るようです。
2010年7月、バルト海の沈没船から見つかった約170年前のヴーヴ・クリコ。世界最古とされるシャンパーニュは、はたして彼女のどんな魅力的な側面をみせてくれたのでしょうか🍾✨