ブルゴーニュ「シャサーニュ・モランッシェ」村。いわずと知れた、白ワインの銘醸地です。しかし忘れてはならないのが、高品質な〝赤ワイン〟。かつては赤が白の生産量をうわまわっていたほど。秀逸なピノ・ノワールを生むテロワールは、いまなお健在です。
シャサーニュ・モランッシェの赤の特徴は、果実味、酸、渋みに富んでいる点。つまり、長期熟成にも耐えうる高いポテンシャル。《ベルナール・モレ2002》がそれを体現しています。色調は、すこし枯れ感があるものの、経年〝20年〟とはおもえない濃厚なレンガ色。香りは熟成感のある葉巻や獣香に、生肉を想わせる鉄分の香り。時間とともにシナモン、甘草、チョコといった甘い香りがきわだちます。抜栓直後の味わいは、収斂性のあるタンニン(渋み)がひときわ主張。それが一時間半で、酸・果実味とみごとに融和し、このうえなくまろやかな旨味を呈するのです。
この赤には、極上肉がよく合います。熊本のブランド牛「くまもと和王」はその最たる例。細やかなサシとまろやかな風味をもつ黒毛和牛。まろみを帯びたワインにとけこむように、芳醇な旨味が広がります。また、アメリカで育った「極黒牛」もオススメ。黒毛和牛の交雑品種で、和牛とアメリカンビーフ双方の魅力をあわせもちます。エレガントな熟成シャサーニュが、肉にそっと寄り添うように、力づよい旨味をひきたてます。
あいにく、ベルナール・モレは2006年ヴィンテージで引退。現在は、ふたりの息子「ヴァンサン・モレ」と「トマ・モレ」が、それぞれ《シャサーニュ・モランッシェ・ルージュ》を生産しています。彼らのワインは20年で、どんな変化をとげるのでしょう。興味はつきません🍇✨