焼き鳥に込められた哲学「串打ち３年、焼き一生」。この言葉は、最初の３年間で「串打ち」の精緻な技術を掌握し、その後、「焼き」の技術を生涯探求し続けようとする献身的な姿勢を示しています。焼き鳥の「焼き」は、食材の特性や火のコントロールに精通していることの証であり、経験と感性が試されます。
一方、ワインの世界も同じような思いが込められています。醸造家の知人いわく「発酵３年、熟成一生」。「発酵」はぶどうの糖分がアルコールに変わる基本的な過程で、その技術を完璧に理解し、適用するには数年の研究と経験が必要とされます。しかし、「熟成」はまるで底しれぬ深さと奥深さをあわせ持ちます。ワインが樽のなかで時間とともに変わりゆくさまは、醸造家の技術と個性が試されるといっても過言ではありません。造り手のセンスとこだわりから生まれた「シャトー・シマール 2007」もまた、長い年月をかけて熟成され、その複雑な香りや深い味わいは申し分のないものでした。
「串打ち３年、焼き一生」、「発酵３年、熟成一生」。これらの格言は、技術と感性、そして終わりなき探求心の大切さを教えてくれます。ありがたいことですが、その情熱の結晶としてわたしたちは、おいしい焼き鳥や素晴らしいワインを享受することができるのですね。
