未知なるマリアージュの世界へようこそ!

私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

似て非なる、ブルゴーニュ

ブルゴーニュらしいピノ・ノワール(ブルピノ)とは、繊細でエレガントな果実味が特徴です。ところが、仲田浩司さんの《ルー・デュモン/ブルゴーニュ ルージュ2013》は、それとは似て非なるテイスト。土っぽさを感じさせるニュアンスで、舌の上でビブラートするような刺激感があるのです。天然酵母の使用、自畑の管理、契約農家の選定・選果、手作業による醸造など、仲田さんの気の遠くなるような手間と妥協をゆるさぬこだわりが、キュヴェごとの個性を大いに活かした自然味あふれるテイストに仕上がっているのでしょう。


そのため、仲田さんが生み出すピノ・ノワールには、ワインとおなじく素材本来がもつ自然味を生かした料理が合うはずです。《ブルゴーニュ ルージュ2013》に、海の幸山の幸のシンプルな料理を合せたのは、こうした理由です。

 

ワインの埃っぽいカビ臭と生肉のような香りは、ほんのり藁(わら)焼きの風味が香る鰹(かつお)によく合います。また、淡泊なカブや赤大根は、純朴(じゅんぼく)なタンニン(渋み)と凹凸感のある果実味で、みずみずしい甘さに変化します。


「らしさ」を追求することは、個性が埋もれてしまうリスクと紙一重。しかし〝ブルピノらしさ〟ではなく、リスクを恐れず〝ナカダコウジらしさ〟を追究する姿勢に感動を覚えるのと同時に、毎回あらたな発見があります。《ブルゴーニュ ルージュ2013》は、ブルゴーニュワインの概念がくつがえされる、オススメの一本です☝️🍷

 

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タレを意識せよ⚠️

料理にシャンパーニュを合わせるとき、肉や魚といった素材だけでなく、〝タレ〟に注目するのもわたし流です。タレとは料理を引き立てるための調味料ですが、料理とおなじく、材料や製造方法によってその特徴は異なるもの。そのタレを意識することで、シャンパーニュ選びは格段におもしろくなります。


ところで、シャンパーニュを大きく分けると、ロゼシャンパーニュと白シャンパーニュに分類されます。その違いは製造過程にあり、ロゼシャンパーニュは黒ぶどうを漬け込んだり、赤ワインをブレンドするのに対し、白シャンパーニュはシンプルに、ぶどうのしぼり汁から造られるという点です。ロゼはこのひと手間が加わるため、複雑で深みある味わいに、そうでない白はシンプルでクリアな旨みをもったシャンパーニュに仕上がります。この違いを念頭に置きながら、タレによってロゼと白を変えることもシャンパーニュの楽しみ方のひとつといっていいでしょう。


たとえば、バルサミコソースやトマト醤油には、ロゼシャンパーニュ。濃厚なタレとロゼは〝足し算〟の論理で、より複雑で奥深い味わいに。バルサミコ酢、醤油の熟成由来のゆたかな風味は、ロゼの赤い果実、スパイス香、わずかなタンニンと甘みによって、さらに数年熟成させたような芳醇さとなるのです。一方、マヨネーズやサワークリームには、白シャンパーニュ。混じりっけのないタレとシンプルな白は〝引き算〟の論理で、雑味を消し去るかのようにコクが際立ち、タレの魅力を引き立てます。


シャンパーニュと料理のマリアージュにおいて、素材と同じくらいタレを意識することで、マリアージュの世界はさらに広がります🍾🥂

 

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ワインと料理の合わせ方のコツ🍴

ワインと料理の合わせ方のコツ。それはずばり、「特性」を合わせるということ。ブルゴーニュワインの特徴は、エレガントかつ、チャーミング。合わせる料理もエレガントでチャーミングであれば、その相性は抜群によくなる、というわけです。


ただ、ブルゴーニュのなかでも、ジュヴレ・シャンベルタンという村のワインはとても個性的。エレガントでチャーミングなうえ、「力強さ」が兼ね備わります。そのうえ、ジュヴレ・シャンベルタンの〝経年変化〟は、エレガントさ、チャーミングさ、力強さ、に加えて「まろやかさ」があらわれます。《ドメーヌ・ブシャール》の《ジュヴレ・シャンベルタン2009》はその最たる例でしょう。


さてこのワインに、どんな料理を合わせるべきでしょうか。


(1)エレガント

(2)チャーミング

(3)力強く

(4)まろやかな


この4要素を備えた料理は、肉でも魚でもなく「オマールエビ」。エレガントに薫る、甲殻類特有の香りに、まろやかな甘みと、凝縮した力強い旨みが特徴です。


この同じ特性をもつもの同士、すなわち《ジュヴレ・シャンベルタン2009》とオマールエビを合わせると、複雑さも味の奥行きもぐんと広がります。


たとえば、抜栓直後から広がる赤いベリー香と、オマールの殻がバターグリルされた際に放つピンクペッパーの香りとが重なると、双方のチャーミングな印象から、ライチやマンゴーのような魅惑の芳香へと複雑さが増します。また、まろやかな果実味とオマールの甘みは、高級和栗のモンブランのような、上品かつふくよかな甘みへと奥行きが広がります。


マリアージュに迷った際は、ぜひワインと料理の「特性」を合わせことを意識してみてくださいね🦞

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天然酵母 × ラドワ

ワインの発酵に欠かせないのは、なんといっても〝酵母〟の存在です。

 

酵母とは微生物のこと。その微生物がぶどう果汁に含まれる糖をエサとして食べ、アルコールと二酸化炭素を発生させます。これがいわゆるアルコール発酵で、この酵母の働きなしにワインは生まれません。

 

この発酵を〝天然酵母〟だけで行っているのがルー・デュモンの仲田晃司さんです。天然酵母はぶどうの果皮に付着している自然の酵母のことで、培養酵母とは違い、安定した発酵が行えません。多くの醸造家が敬遠する醸造法ともいえます。

 

なかでも、天然酵母が造り出す〝自然の恵み〟を存分に感じられるのが《ラドワ ルージュ2013》。ラドワとは村の名前で、ラドワ村の複数の区画(ラドワ ルージュの場合は〝レ・トップ・コワフェ〟と〝ラ・モール〟の2区画)から獲れたぶどうがブレンドされています。

 

草木の青さ、雨上がりの湿っぽさ、太陽の温もりを感じる日向臭さと香りや味わいにも自然を感じるラドワには、野性みのあるイベリコ豚がよく合います。ほどよく脂身が入った肩ロースは、力強く濃厚な旨みの中から、イベリコ豚特有の香草の香りと、どんぐりの芳ばしさが広がり、ラドワの自然味と助長しあうかのように、双方のおいしさが増すからです。

 

惜しむらくは、「ラドワ」のワインは日本やアメリカでもほとんど流通しておらず、欧州であってもパリやブルゴーニュの一部のレストランでしか見かけないことです。

 

天然酵母 × ラドワ」となるとさらに稀少性が高くなるので、《ルー・デュモン/ラドワ ルージュ2013》と出会した際はぜひご賞味くださいね🍷

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微差に気づかせてくれる豆腐

創業わずか40年で、生産量フランス第一位となった「ニコラフィアット」。グラン・メゾンならではの、キュヴェの多さが特徴です。定番の《ブルーラベル》と《ホワイトラベル》の違いは一年ほど熟成期間が異なるだけです。《ブルーラベル》《ホワイトラベル》ともに、淡いゴールドカラー。ほのかに蜂蜜トーストの香りを放ちます。交互に飲み比べても、香りや風味の違いはわかりにくいのですが、この微差に気づかせてくれる〝引き立て役〟が豆腐です。


とりわけ〝十勝(とかち)〟の恵みを生かした有機栽培の丸大豆と天然のにがりだけでつくる豆腐をいただくと、《ブルーラベル》には〝甘み〟が、《ホワイトラベル》には〝苦味〟が、浮かびあがるから不思議です。同じような香りや風味をもつ料理と合わせると、それらと呼応するかのごとく、潜在的シャンパーニュの特徴が何倍にもなってふくらむのかもしれませんね🍾🥂

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🍇ピノ・ムニエ主体のシャンパーニュ

今回ご紹介するシャンパーニュは《ルアレ・デボルド/ブリュット》。ピノ・ムニエ67%とピノ・ノワール33%の黒ぶどうのみでブレンドされたブラン・ド・ノワールです。ピノ・ノワールに比べ、ピノ・ムニエという品種は、味を整える〝スパイス〟的な役割を担うことが多いのですが、このシャンパーニュピノ・ムニエを主体とする稀有なシャンパーニュのひとつです。その味わいは上品かつエレガントなうえ、黒ぶどう特有のコクとふくよかさを十二分に堪能できます。


シャンパーニュ地方において、ピノ・ムニエがもっとも多く栽培される地域は、ヴァレ・ド・ラ・マルヌという地区です。そのヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区の第一級のシャンピヨン村に居を構える生産者であるため、品種を知り尽くしたピノ・ムニエブレンド比率が高くなるのもうなずけます。


このシャンパーニュに合わせるのは、鶏や豚のさまざまな部位を混ぜて、蒸し焼きにするパテ・ド・カンパーニュ。しっとり、ぎゅっと凝縮された肉の濃厚な旨味が魅力です。


《ルアレ・デボルド》は、果物のコンフィチュールのようなやさしい甘み、穀物酢をイメージするやわらかな酸、そしてかすかにピリっとするような辛さがあります。パテ・ド・カンパーニュに添えてあるブルーベリーソースやマスタードのように、このピノ・ムニエが多く含まれるシャンパーニュそのものが〝スパイス〟となって、味のアクセントになり、深みを与えてくれるのです🍾

 

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🍷ワインの産地とおなじ郷土料理を合わせる

豆好きのわたしにとっては、南仏の「カスレ」は定番料理。白いんげん豆と肉の煮込み料理です。あっさりとした大手亡(おおてぼう)豆でつくることで、肉やトマトとも、よくなじみ、味わいが深まります。

 

「ワインの産地とおなじ郷土料理を合わせる」がマリアージュの基本ですが、カスレには南仏(ラングドック=ルーション)でもとくに高品質の、《ミネルヴォア・ラ・リヴィニエール》のワインがよく合います。温暖な土地ですが、モンターニュ・ノワール(黒い山)と呼ばれる山からの冷風のおかけで、濃厚だけどくどくない、すっきりとした赤ワインに仕上がるからです。

 

なかでもとりわけエレガントな《ドメーヌ・ド・トロミエス》。カシスのリキュールやブルーベリーのジャムのような濃厚な果実味で、タンニンも強めですが、ワインビネガーのようなまるみのある酸と、ほのかなメンソール系の爽快感が、ホクホクとした豆のやさしい甘みと調和します😊🍴

 

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