未知なるマリアージュの世界へようこそ!

私の超オススメワインをご紹介します🥂🍷✨

「哲学」を感じるシャンパーニュ

「スタンダード・キュヴェ」とはメゾンの基本スタイルのシャンパーニュ。対して「プレスティージュ・キュヴェ」は、メゾンがまさに〝プレスティージュ(威信)〟をかけてつくる特別な一本です。

 

なかでも、シャンパーニュの代表格《ローランペリエ》のプレティージュは圧巻です。スタンダードは、メゾンの三原則「フレッシュ」「エレガンス」「バランスのよさ」がそろった《ラ・キュヴェ》。くわえて、経年変化でも揺るがない「力づよさ」をかねそなえたのが、プレスティージュ《グラン・シエクル》。

 

特筆すべきは、グラン・シエクルが〝ノン(マルチ)・ヴィンテージ〟であるということ。通常、プレスティージュ・キュヴェは単一年のぶどうでつくる〝ヴィンテージもの〟が圧倒的多数。そんななか、特質的なスリーヴィンテージを厳選・ブレンドするローランペリは、〝型破り〟ともいえる生産者。はちみつ、ローストナッツ、クロワッサンなどのゆたかな芳香に、熟成してもなお維持されるフレッシュ感。シャルドネ由来のフィネスとエレガンスを、力づよさと厚みあるコクが支えています。この完璧ともいえるバランスこそ、マルチ・ヴィンテージの偉力。メゾン三原則で均衡をたもつ《ラ・キュヴェ》が、それを証しているかのようです。

 

〝鮨シャン〟における、ローランペリエと平目はわたしのお気に入り。ただ、《グラン・シエクル》だとシャンパーニュインパクトがつよすぎるので、平目の「えんがわ」の方がよくあいます。こりこりとした食感で、かむたびに滲み出る魚の旨味と脂の甘み。グラン・シエクルの厚みあるコクとみごとに融合します。

 

アッサンブラージュブレンド)こそ、シャンパーニュの本質」、がローランペリの哲学。まさに《グラン・シエクル》そのものです。生産者の〝哲学〟を五感で感じる。これこそ、プレスティージュ・キュヴェの真価ではないでしょうか🥂✨

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ボキューズ談議に花が咲く

フランス料理を世界にひろめた、ポール・ボキューズ氏。〝ヌーベル・キュイジーヌ〟の旗手的存在です。それまでの、濃い味のソースや油脂を多用するフランス料理に対し、素材の味をひきたてる軽やかなフレンチが、ヌーベル・キュイジーヌ(新しい料理)。歴史上の人物にとたえるなら〝ナポレオン〟。自他ともに認めるフレンチ界の英雄です。

 

食の都リヨンに居を構えるレストラン、ポール・ボキューズ。そのプライベート・シャンパーニュは、1990年代後半から20年以上にわたり、《ティエノ》が手掛けました。今回のロゼは、2009年まで使用されていたエチケット品。口に含んでもほとんど泡は感じられませんが、サラダ・リヨネーズ(リヨン風サラダ)でおなじみの「鶏肝」と合わせると、自然とボキューズ談議にも花が咲きます。

 

思い出のレストランや、大切なひとに所縁ある料理やお酒をいただく。そこには言葉では語れない、特別なマリアージュの世界が広がります🍴🥂✨

 

ポール・ボキューズ/没後3年/2021.1.20)

 

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迷ったときはブラン・ド・ブラン

〝鮨シャン〟でシャンパーニュ選びに迷ったときは、ブラン・ド・ブラン。シャルドネ100%のすっきりとした酸が酢飯と相まって、魚の旨みを引き立てるからです。Blanc de Blancsとは「白(ぶどう)の白(シャンパーニュ)」という意味。一般的な白シャンパーニュは、黒ぶどうとのブレンドがほとんど。それでも白く仕上がるのは、しぼった果汁のみを醸造発酵し、果皮を浸漬しないため。赤い色素はほとんど抽出されません。

 

今回は《フォルジェ・ブリモン》のブラン・ド・ブラン。「グランクリュ(特級)とプルミエクリュ(一級)しか生産しない」というこだわりで、品質の高さはどれをとっても明白です。淡いイエローの輝きに、レモンとカマンベールチーズの芳香。生き生きとした酸で、繊細かつシャープな印象をあたえます。合わせる鮨は松葉の「カニ味噌」。濃厚な旨味と塩味が一層きわだち、鮮烈な磯の香りを堪能できます。上品な甘みの「カニ身」であれば、ふくよかで丸みある《ロゼ》もまたオススメです🍣🥂✨

 

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ワインはグラスで変わる

〝フルート型〟と〝チューリップ型〟。シャンパーニュグラスの主流です。直線的なフルート型は泡の立ちのぼりが美しく、ふくらみのあるチューリップ型は香りをより豊かに感じとることができます。

 

マグナムシャンパーニュをフルート型でいただくのも、楽しみ方のひとつ。マグナムとは、通常ボトルの二倍に相当する大きさ。瓶内熟成がゆっくりと進むため、より繊細で緻密な泡となります。そして、そのわきあがる姿を一層美しく演出するのが、フランスのクリスタルブランド「バカラ」のフルート。世界一と称される透明度と、息をのむほどの優美なフォルム。酸化鉛の含有率がたかいバカラクリスタルは、ずっしりとした重厚感も相まって、マグナムの魅了を最大限にひきたてます。《テタンジェ/ブリュト・レゼルヴ》も例外ではありません。圧巻の美しさに心奪われつつ、マグナムならではの熟成感にひたれるとは、このうえない贅沢です。

 

グラスの形状で、ワインの風味は変わります。ワインのポテンシャルを引き出すグラス選び。とても重要なファクターだと私は思っています🥂✨

 

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知られざるラングドックの魅力

フランス最大のワイン産地、ラングドック・ルーション地方。17万ヘクタールを超える栽培面積は、フランスのぶどう畑全体の40%に相当します。赤は「グルナッシュ」や「シラー」が主要品種のなか、知るひとぞ知る逸品が「ピノ・ノワール」。温暖な気候で太陽をたっぷり浴びたラングドックのピノ・ノワールは、ジューシーかつフルティー。凝縮感ある果実味でお肉料理とは抜群の相性です。

 

今回は《ドメーヌ・ピエール・シャヴァン》のピノ・ノワール。環境・生態系の保全を重視し、持続可能な生産プロセスを追求する生産者です。また〝ノン・アルコールワイン〟を世界に広めたパイオニアでもあり、ワイン業界の革新的存在といえます。《ヴィラ・ノリア・ピノ・ノワール2018》は、グラス壁に滴がしっかり残る濃厚さ。赤いベリーのジューシーな芳香は薫りだけで喉が潤うよう。2018年にしては、色がくすんでいるのはオーガニック由来でしょうか。味わいはフレッシュで瑞々しく、それでいて余韻までしっかり持続。ロゼ色に仕上がった「ローストビーフ」とは、〝濃度〟がちょうど一致するイメージです。ワインとお肉が一体となり、双方の旨味を引き立てあいます。

 

ピノ・ノワールといえばブルゴーニュを想い浮かべる方もおおいはず。上品でエレガントな〝ブルピノ〟、元気で生き生きとした〝ランピノ〟。おなじ品種でも、甲乙つけがたい魅力です🍷✨

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〝甘辛度〟の違いを楽しむ

Brut(ブリュット)やSec(セック)は、シャンパーニュの甘辛度をあらわす標示。その甘辛度の多くは、ドサージュの量によって決まります。ドサージュとは、シャンパーニュづくりの最終工程で糖分を追加すること。この結果として、BrutやExtraBrut(エクストラ・ブリュット)などが決まります。

 

この甘辛度の異なるシャンパーニュで、〝鮨シャン〟を楽しむのがオススメ。ラインナップ豊富な《マイィ・グラン・クリュ》はそれを叶えてくれます。主要品種であるピノ・ノワールはこの上なくエレガント。対してシャルドネは類をみないまろやかさです。このように、対照的なぶどう品種がマイィの特徴。なかでも、極辛口の《エクストラ・ブリュット》は「タラ白子」の上品な甘みをひきたて、辛口の《ブリュット・レゼルヴ》は「フグ白子」にさらなる深みあるコクを与えます。なお、《マイィ》の「エクストラ・ブリュット」は、1リットルあたりの糖分が0g以下であり、「ブリュット」の糖分は1リットルあたり7-8g/lです。

 

〝ブリュット〟と一口にいっても、規程数値に幅をもたせているため、造り手ごとに甘辛感はことなります。生産者やインポーターのウェブサイトに情報開示されていることも少なくありません。自分の好みを知っておくことも大切ですね🥂✨

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〝ブラン・ド・ブランのロゼ〟

白身のような淡泊な鮨ダネには白のシャンパーニュ、赤身や鰻のように濃厚なタネにはロゼ・シャンパーニュを合わせる。これがわたし流〝鮨シャン〟の基本。

 

その例外が《ポール・グール》のロゼ。これ一本であらゆるタネとマリアージュする、いわば鮨シャンの〝万能酒〟です。

 

シャルドネの銘醸地、コート・デ・ブランがポール・グールの本拠地。優秀な生産者が集まるなか、極めて上質なシャルドネをつくるメゾンと高く評価されています。《ブリュット・ロゼ・プルミエ・クリュ》はシャルドネ85%、ピノ・ノワール15%。シャルドネのエレガンスと繊細なフィネスを存分に感じる、ロゼ・シャンパーニュ。鯛やヒラメは上品な旨味を引き立て、マグロや鰻は力づよさを助長しながら、さらに旨い鮨へと昇華させます。

 

メゾンはこのロゼを〝Un rosé typé Blanc de Blancs(典型的なブラン・ド・ブランのロゼ)〟と表現します。「ブラン・ド・ブラン」とは、シャルドネ100%の白シャンパーニュのこと。ロゼは赤ワインを混ぜてつくるため、〝ブラン・ド・ブランのロゼ〟は実際には存在しません。ところが口に含むくと、この〝撞着(どうちゃく)語法〟がまさに言いえて妙。納得してしまうから不思議です。

 

多彩な鮨とマリアージュする、鮨シャン万能酒。《ポール・グール》のように、上質なシャルドネ主体のロゼ・シャンパーニュがオススメです🍣🥂✨

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