外観では識別しかねるほど類似する「牛肉」と「オーストリッチ肉」。その相違点は〝脂肪量〟にあります。おなじ赤身のモモを比較すると、牛は100g中20.7g。対してオーストリッチはわずか2.5gの含有量。
きわめて低脂肪なオーストリッチ。フィレ肉であらためてそれを実感します。生は牛フィレをしのぐやわらかさ。もっちりとした塊肉は、トングで挟むことすら困難です。それがローストすると一変。ミディアム・レアに仕上げても脂肪の少なさゆえ、硬くひきしまったステーキに。噛むほどに〝肉々しい〟旨味があふれ、まるで牛モモ肉を頬張っているかのようです。
そんなオーストリッチのフィレ・ステーキには、赤身肉の定番《ジュヴレ・シャンベルタン》。今回は《ドメーヌ・ド・ミュテル》の《2016》を抜栓します。すこし褪色(たいしょく)しかけたルビー色に、鉄っぽい生肉の香りと乳系発酵香。秀逸な熟成ブルゴーニュをまさに物語る色香です。味わいはジュヴレ・シャンベルタンの力づよさを秘めつつ、シルキーかつエレガントな印象。にんにく醤油で風味の増した肉の旨味を引き立てます。塊肉のしっかり焼けた部分は、さらに凝縮感ある味わい。芳ばしいロースト香と抜群の厚み、《ルイ・ブラン》が実によく合います。
オーストリッチは100%赤身のたいへん稀有な鳥類。鳥にありがちな独特の香りもまったく感じさせません。鳥肉の概念をくつがえす〝オーストリッチ〟。ぜひ一度お試しくださいね🍷✨