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「格付け」とは

〝A5ランク〟の黒毛和牛や〝三ツ星〟レストランなど、わたしたちの身の回りには数多くの「格付け」が存在します。「格付け」とは、品質や安全性などを総合的に評価した順位(ランク)。その対象物が〝いかに優れているか〟を消費者に客観的かつ、簡潔明瞭に示すことができます。

ボルドーワインもその一例です。メドック地区では、計61の生産者に、第一級から第五級の格付けがなされています。その起源は1855年、時の帝王ナポレオン三世パリ万国博覧会の展示品のひとつとして、メドックワインの「格付け一覧」を制作するよう指示したことにはじまります。それを受け、ボルドー商工会議所が作成しました。

そのなかから、今夜は第一級「シャトー・マルゴー」を抜栓。ソムリエ泣かせのコルクが「1980年」を物語るも、中身の状態はきわめて良好でした。むしろその〝若々しさ〟に一同が驚愕しました。光沢のあるレディッシュブラウンカラー、香りは熟成特有のジビエ腐葉土に、ミントのような清涼感と栗の花のようなかぐわしい香りがときおり出現します。味わいは、タンニンと酸が完全に溶け込み、ビロードのような舌ざわり。なかでも、驚かされたのが果実味の恐るべき複雑味と奥深さです。完熟の赤い果実を低温のオーブンでじっくり焙焼し、そのしぼり汁にとれたての果汁を混ぜたような〝熟〟と〝鮮〟が混在する、とても不思議な感覚でした。その〝鮮〟にスポットが当たった瞬間、どこか〝デイリーワイン〟のような親しみやすさを感じさせるのです。

メドック格付けが他の格付けと決定的に異なるのは、制定以来、ほぼ変更(更新)がされていないという事実です。「170年もの間、審査をし続けた結果」とは推定し難く、ボルドー、ひいてはフランスワインの閉鎖的な環境がうかがえます。なかには170年前に付与された等級以上に高品質なワインを生産するつくり手もいるでしょう。そしてまた〝逆もしかり〟です。フランスワインの「格付け」は、あくまでも指標のひとつ。個人的な嗜好も鑑みて、「高格付け=絶対的な美味しさ」ではないと心得ておくべきです。願わくば、数年に一度審査があり、ランク争いが繰り広げられる、活気と解放感に満ちた世界になってほしいものです。

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