世界的なピノ・ノワールの銘醸地、ブルゴーニュのコート・ド・ニュイ地区。その最北に位置するのが「マルサネ」村、次いで「フィサン」村です。マルサネは、冷涼感とフレッシュ感が特徴。ヴィンテージやつくり手にもよりますが、比較的かろやかな味わいです。対して、フィサンはマルサネと比較するとタンニンが豊富で、力づよくしっかりとした旨味。長期熟成に向くワインが多く産出されています。
きょうは《ドメーヌ・コワイヨ》のマルサネとフィサンを、鹿児島黒牛(くろうし)のランプ肉とともにいただきます。鹿児島黒牛は、〝和牛のオリンピック〟こと「全国和牛能力共進会」という品評会で、チャンピオンにかがやいた銘牛。品質は折り紙つきです。肉を熟知したシェフは、さらに〝切り方〟の違いで変化する肉の旨みを楽しませてくれます。
まずはじめに食したのは、とても柔らかなひと切れ。肉汁が豊潤で、しっとりとした質感。赤身特有の旨味が満ちています。みずみずしい果実味の《マルサネ・レグラステット2018》とじつによく調和。カシス香と生肉をおもわせる鉄っぽい香りが、ランプの旨味をさらに際立たせます。次にいただいたひと切れは、見た目はおなじでも、歯ごたえが抜群。ひと噛みするごとに、凝縮した旨味が染みでるよう。こちらは、若干硬さをおぼえる《フィサン2018》とともに。力づよいタンニンに、ダークチョコやローストビーフを彷彿とさせる芳香。肉の芳ばしい旨味を助長します。
切り方によって味がことなるのは、塊肉ならでは。繊維に対し、垂直にカットするとやわらかくジューシー。平行にカットすると噛みごたえがあり、力づよい旨味に感じられます。とりわけ違いが顕著な「赤身肉」はロースト後、繊維の方向を見極めてからカットすることをおすすめします。塊肉の切り方によるマリアージュの変化。ワインの楽しみ方がひろがります🍷✨