おなじ銘柄のことなるヴィンテージを比較する、垂直のみ。こんやは《ジェシオム/サントネ・プルミエクリュ〝レ・グラビエール〟》の2013年と2016年。とりわけ興味ぶかいのは、《2013》は前オーナー、《2016》は現オーナーがてがけたヴィンテージという点です。
あわいイエローカラーの《2013》は、白いお花やハチミツの香り。味わいは果実の甘みを感じるも、余韻がみじかくひかえめな印象です。対して《2016》は、濃いゴールドの輝き。抜栓直後のピークがすぎたかのような香りと味が、時間とともに変化。力づよいロースト香、甘美なパイナップル香があふれだし、甘みとコクがさらに増幅。グリルされたホタテのまったりとした甘みと調和し、生ハムの塩味、ルッコラの苦味がワインの複雑みを助長します。
わずか3年の差。かつヴィンテージチャートではおなじ高評価。香りやテイストの大差に、おどろきます。要因のひとつに、オーナーの〝樽づかい〟があるのではないでしょうか。《2013》は樽熟成10ヶ月/新樽ゼロ%、《2016》は樽熟成12ヶ月/新樽20%。現ジェシオムは、毎年さまざまなパラメーターから樽づかいを判断。なかでもその年の天候をより考慮するとのこと。寒い年のぶどうは新樽発酵に耐えられる一方、暖かい年は新樽でワインが重くなってしまうといいます。
樽の使い方は生産者によって千差万別。オーナーの〝思想〟が垣間みえる樽づかいを、ぜひ垂直テイスティングでお楽しみください✨