鮨をかたるうえで、はずせないのが「シャリ」。空気をふくみふっくら握られたシャリは、口のなかでほろほろとほどけるように崩れます。
そんなわたし好みのシャリを握ってくれるのが、今夜のなじみ店。どの鮨ダネも絶妙な〝シャリほどけ〟です。たとえば「フグ」。弾力のあるフグは、シャリが先に崩れてしまいがち。それがタネの咀嚼にあわせて、シャリもゆっくりとほどけていくのです。大将いわく、タネにあわせてシャリのかたさを微調整しているとのこと。かむほどに旨味あふれるフグのにぎり。《ヴァレ・ガドレ/ブリュット・リセ》と相性抜群です。こうばしい焦げ香、ピノ・ノワール90%の旨味とコク。やらかな酸が、鮨との調和をいっそう助長します。「フグのばってら」もまた絶品。シャリが詰まった押し鮨も、大将の手にかかると、にぎりに勝とも劣らないシャリのほろほろ感。こちらはシャルドネ100%の《キュヴェ・プレスティージュ》とともにいただきます。フレッシュかつパワフルなガス圧。勢いのあるアタックにより、昆布の風味が口いっぱいにひろがります。さらにブラン・ド・ブランならではの酸と苦味。そえられたスダチと融合し、フグとシャリの甘味をきわだたせます。
鮨をひきたてる〝シャリほどけ〟。意識していただくと、職人のこだわりが垣間みえるかもしれません🍣✨